明けましておめでとうございます。本年初の記事をブログアップいたします。変わらぬご愛顧をおねがいいたします。
室長交代の前後から次期システム検討が本格化する。4月上旬にはIBMが5550の発表を受けて、日本語システム対応策を説明。これを節目にIBM、富士通、日立を対象にしたこの次期システム検討プロジェクトを“オペレーションX(O/X)”と名付けることが決まる。
いままでその時々で話題になり、それなりに情報収集をしていた国産機の検討も体系立てて調査するようになっていく。ポイントは①既存アプリケーションソフトの互換性と移行性(IBMから国産機への)、②データベース(DB)の移設方法とアプリケーションとの親和性、③国産汎用機の次期システム展望、④それと密接に関係する部品や周辺システム研究開発状況、⑤特に国産メーカーについては、事務作業改善(OA推進;自社内、顧客)の実態(この知見を本社事務合理化の参考にする)、⑤その他;価格や他社における切替実績とそのスケジュール、などであった。
①に関しては、技術分野(各種技術計算や生産管理ツール、LP)のアプリケーションがエクソン・プログラム・ベースなので互換性はERE(エクソン・エンジニアリング・センター;ニュージャージー)で既にアムダールのシステムで問題なく稼動していることからそれほど心配することは無かった。しかし、事務系統のアプリケーションは全て日本のビジネス慣行に合わせた東燃オリジナルのシステムゆえに互換性は未知だったし、本社事務合理化はほとんどこの分野が中心となるので、綿密なチェックが必要だった。また②のDBについては、IBMのIMSと呼ばれるシステムを使っていたが、ここは日立・富士通とも類似(リレーショナルDB)ではあるものの、完全に同一のものではなかったから、先ずIMS→国産機用DB(例えば、富士通ならRDB)への移行、次いでRDBと互換機上で動く各アプリケーションとの親和性をテストしなければならない。現代の通信技術環境ならは一ヶ所に在るデータを共有したり伝送・コピーすることも簡単に可能だが、当時仕様の違うテープやディスクを介しての変換は容易なことではなかった。それでも5月の連休明けには、互換性の質問状に対する回答も得て、テスト仕様が固まり、日立は秦野工場で、富士通は中原(だったと思う)工場で互換運用テストが始まった。
案ずるより生むが易し。IBM互換機ビジネスでシェアーを拡大してきた両社のMFシステムは、移行性に関しては大きな問題も無く動くことが確認できた。オトリ捜査で挙げられるのもなるほどと妙な形で納得させられる。あとは価格と所要切替時間である。価格に関しては当然ながら両社ともIBMよりは安かったし、国産2社間の差はそれほど大きくなかった。明らかに差が出たのはIBMからの切替に要する時間である。日立は一ヶ月の並行ラン(少しずつ移管する)を求めてきたのに対し、富士通はDBの事前コピーを済ませておけば、土日二日で切替可能と答えてきた。当時の電算機室は竹橋のパレスサイドビル内にあり、東燃本社がここに移ってきてからシステム増強が続いて、MFシステムを二つも併設するスペースや電源等の余裕がなかった。これは日立にとってかなりのハンディキャップになった。これに対して富士通は一気に置き換えた事例をいくつも経験しており、万全の自信をもって切替スケジュールを提案してきた。
(次回;本格化する次期システム検討;つづく)
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