8.四国カルスト顛末記
この日のドライブ、否今回のドライブで最も運転環境が厳しく、それ故にチャレンジし甲斐のあるルートと想定したのが、四万十から道後へ至る四国山地縦断の道筋である。1000mを越す高原地帯を走る道はほとんどが三桁の国道・県道か林道、晴天でも難儀な行程である。
足摺岬観光を終えたのは9時半、先ほど一瞬陽の光を見たが発つときには空は重く暗くなり、土佐清水に下りて国道321号線に戻ると雨になってきた。あとから考えればそこからカルストを直接目指すべきだったが「ここまで来たんだから」と反対(西)方向に在る竜串・見残しに寄ることにした。海岸に沿う道は交通量が少なく10時には竜串観光用の広い駐車場を備えた足摺海洋館に着く。46年前の記憶ではここから徒歩でそれほどの距離ではなかったので傘をさして海岸へ出たがどうも景色が違う。昔は無かった大きなロボットのような建造物が遥か先の海中から立ち上がっている。近くの土産物屋で問うと「あれは海中展望塔、竜串は少し戻って市の観光案内所の駐車場からが近い」と教えてくれる。戻ってみると案内所は月曜日でクローズ。仕方なく案内板に従ってそれらしき方面に行き海岸までたどり着くが、記憶にある洗濯板状の岩場が広がっていない。しばし海岸を右往左往して分かってきたことは、大潮の関係で水面下に隠れてしまっていたのだ。
結局1時間近く無駄骨を折り、ここを出発したのは11時少し前。本来の予定では昼をカルストの大野ヶ原で摂ることにしていたから、ナビのセットをそこに定めルート探索させそれに従って走り出す。足摺の小半島はバイパスするものの四万十からの道を市内まで戻り、川を東側に渡り今度は川沿いの国道441号線を北上、江川崎からは予土線に並行する国道381号線に入る。降雨の上に狭隘で路面も荒れているので運転には細心の注意が必要だ。特に高知県と愛媛県の県境前後は厳しく、松野と言う町に入った時はホッとした。
この町がどう言う町なのか今でも定かではないのだが、わりと整ったつくりで“虹の公園”と名付けられた道の駅が見つかったので昼食を摂ることにする。時刻は1時前、手早くうどんで済ませ、出発は1時15分。出発前に大野ヶ原までの所要時間を聞くと「今日は天気が悪いから1時間半位見ておいた方がいいでしょう」とのこと。道後温泉のチェックイン時刻5時半は無理な感じがしてくる。
ここからは国道320号線(檮原街道)、さらにこれに続く国道197号線を北東に向かう。再び愛媛・高知の県境を越すとナビは狭い道へ左折を指示する。前に中型トラックが走っているが車幅と道幅がほとんど同じだ。このトラックも途中の小集落で止りあとは林道を単独行、道には枯れ葉が積りほとんど使われていないことを示している。対向車の恐れは少ないものの「こんな所でトラブったらどうしよう?」不安は募る。三度目の高知・愛媛県境を韮ヶ峠で越えやっと対向できるまともな道路、県道36号線に辿り着くことが出来た。
この道は県境に沿って東西に延びる高原道路、ここを東に向かって進むと数軒の人家が現れ土産物屋や公衆トイレなどが在る。一寸洒落た雰囲気のペンション“もみの木”に立ち寄り(3時少し前だったから、道の駅のアドヴァイスはかなり正確だった)道を確認すると「大野ヶ原はカルスト高原の西の端です。石灰岩が露出しているのは東の端の天狗高原ですが、この天気では高原を見渡すことは無理かもしれません」とのコメント。確かに雨雲が地表を這い、道はともかく視界はさらに悪くなってきている。それでももらった案内図を頼りに天狗高原を目指して走り出したのだが4度目の高知・愛媛県境、地芳峠(1080m)に達した時、道は狭まり、ヘッドライトを点灯しても先へ進むのが危険な状況になってきた。
ここで念願の四国カルストを諦め、国道440号線から33号線(土佐街道)に下り、久間高原の美川を経由して、(この日は不在の)友人宅が在る砥部の陶街道を抜けて道後温泉に向かった。この日の宿“朧月夜”到着は5時半、予定通りだがカルスト観光していたら大幅に遅れてしまっただろう。この日の走行距離;303km。
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(次回;道後温泉)
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