2016年5月30日月曜日

九州遠征超長距離ドライブ(20)


16.長崎-2
322日(火)朝から良い天気だ。この日の予定は終日長崎市内観光。湾と山に囲まれた、それほど広くない市街地だから計画時からクルマは使わず、公共交通機関と徒歩で廻る予定にしていた。9時前にフロントに下りて、あらかじめ用意してあった、行動予定案を示してアドヴァイスを乞う。対応してくれたのは若い女性スタッフ(とは言っても既婚者)のTGWさん。案を見て「よく調べてありますね!見所を確り抑えてあります」と先ず全体計画はOK。次いで観光の順番として、1)グラバー園周辺、2)南山手方面洋館、3)東山手方面洋館・孔子廟、このあと昼食を摂り市街北部の4)平和公園(爆心地)、帰途大波止・出島地区を巡ってホテル帰着となる原案を「理想的なコース採り」と賛成してくれる。「どんな交通機関の利用が良いだろうか?」と問うと即座に「一日券(500円)を購入して路面電車利用が一番」との返事。さらに細かい情報を教えてくれる。グラバー園には「住民用のエレベータ(斜めに動く;スカイロード)を利用して裏門(第2ゲート)から入り、園内を下る道を採る方が楽です」 南山手では「“街並み保存センター”に寄ってみてください。義父の版画作品が展示してあるんです」 オランダ坂から東山手を廻って孔子廟を観ると丁度お昼時になる「ランチはホテルモントレ―のレストランがお薦めです」 すべてこの通りに行動し、すべてに満足した。
ホテルで電車一日券を購入、最寄りの西浜町駅から5番系統で終点の石橋駅まで行き、駅近くの店でエレベータの所在を確かめる。土地の人らしい親子連れと一緒に最上階まで。周辺は普通の個人住宅、裏門はそこから歩いて数分。いよいよ期待の長崎観光が始まる。
2ゲ-トは丘の頂上に在るので10mも進むと北西から東に開けた展望が広がる。眼下に長崎港の湾、その先に三菱の造船所、右手下に市街中心部が望める、左は外海への水路。外国貿易を営む者にとって絶好のロケーションと言える。グラバー住宅、リンガー住宅、オルト住宅の3軒は元の場所に在り、いずれも国の重要文化財になっているが、他から移設した洋館などもあり、“洋館見学”には便利だが、園内全体としてオリジナルの景観をとどめるものではない。グラバー邸が際立って有名なのは最も古い(1863年)ことによるのだろうが、庭園などを含め全体に明るい感じがするここは個人的にも一番気にいった。長崎に残る洋館で最大のオルト邸は石造り、リンガー邸は木石混合作り、それに対してグラバー邸は木造(日本最古の木造洋館)、こんなところも日本人に愛される由縁かもしれない。
園内を上から下に見学・散策して正門(第1ゲート)で外に出ると直ぐ大浦天主堂に達する。周辺には多くの土産物店や飲食店があり、通りは観光客がいっぱい。時間帯にもよるのだろうが第2ゲート前とは大違いである。
大浦天主堂は1863年着工、1865年完成。つまり明治になる前に、外国人居留区があるために幕府から特別に許されて建立されたキリスト教会(カソリック)なのである。何度かの増改築が行われているが(原爆で屋根やステンドグラスが被災している)、国宝に指定されている。名前は知っていたが、このことをここへ来るまで知らなかった。しかも場所は秀吉の時代に行われた隠れキリシタン殉教の地なのである。このところフランス、スペインとカソリック国観光に出かけ大聖堂をいくつも観てきている。それらに比べようもない規模だが、内部の造り(特に天井)は同じで、「あの時代どのように施工法伝授が行われたのか」エンジニアとしては興味のあるところだが、これは解明できていない。現在通常の礼拝はここでは行わず、すぐ目の前にある赤い尖塔の大浦教会がそれに使われている。
このあと南山手地区を少しぶらついてみた。個人所有の洋館が何軒かあるが内部を公開しているところはなかった。唯一入れたのはくだんの“街並み保存センター”、TGWさん義父の版画は、私の好きな伝統木版技法で長崎の風物を描いたものだった。


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(次回;長崎;つづく)

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