2018年11月16日金曜日

山陰ドライブ1800km-3



-因幡・伯耆・出雲を走る-

3.最初の晩餐
長距離ドライブで鳥取到着は夕刻過ぎを予想したから、2食付は避けて夕食は現地で体調を考えて決めることにした。従って宿泊場所はクルマでアクセスしやすく、かつ食事場所に困らない繁華街近傍で探した。当日ツインが取れるそこそこのホテルとして鳥取ワシントンホテルプラザの一室を確保できた。場所はJR鳥取駅に東南隣接地、オフィスビルと一緒だが、立体駐車場が備わり、フロントが一階に在って、難なくチェックインできた。部屋は121211室、これは予約の時間違えて喫煙にしてしまい、チェックインの際禁煙室への変更可否を聞いたが既に満室で我慢せざるを得なかった。しかし、幸い煙草の臭いは全くしなかった。部屋の向きは南西、眼下に駅が見え、遥か彼方には海も臨める。部屋の広さもアメニティもまずまず、これで朝食付き一人7000円はリーズナブルである。唯一残念なのは温泉地であるにもかかわらず大浴場はなく、部屋の風呂はユニットバスで、上階のためか湯張りに時間がかかることくらいである。
1時間ほど部屋で休んで、夕食に出かけることにする。出発前からここは食・宿分離としていたから、一応ご当地グルメを何ヵ所か当たっておいた。やはり海が近いので魚中心の所が多い。長い距離走った後の肉類は重いのでそれは好都合だ。フロントに下りると丁度夕食時、ビジネスマンの団体(と言っても78人)と一緒になる。彼らは既に予約が出来ているらしく、そそくさと出ていってくれたので、ぴちっとスーツに身を固めた中年のフロント担当者に直ぐ相談できた。こちらの要求は「郷土料理、カジュアル、ホテルから徒歩圏内」である。最初に紹介してくれたのは海鮮問屋が経営する居酒屋。魚の種類、鮮度はここが一番とのこと。しかし必ずしも“郷土料理”と言うことではなさそうだし、“居酒屋”にチョッと抵抗感があった。私自身居酒屋(特に大都会の)はあまり好みでないし、家人は酒を遣らない家庭に育ち、自身全く飲めない。次に紹介してくれたのが郷土料理“たくみ割烹店”である。確か事前調査の中にあったが、何となく地方の名店と言う感じがして「こんな格好(ジャンパーとGパン)で良いのかな?」と問うと「割烹ですから、全く問題ありません」との返事。距離も10分足らずで、大通りに面しており直ぐわかるとのこと。
ホテルを出ると雨がパラパラ降っており、先刻のビジネスマンたちが傘を取にホテルに戻ってきた。こちらもホテルの傘を借りて表へ出る。時刻は7時前だが駅前の大通りを行き交う人はほとんどいない。県庁所在地とはいえ、最近の地方都市はだいたいこんなものである。
店は分かり易かったが、店頭に掲げられたメニューは値段が記されていないように見えた。何故かその部分だけ赤字で薄いのである。何とか判読できたのは和定食・鳥取牛しゃぶしゃぶ・たくみ御前・郷土料理(各種)・カレー(数種;これは専らランチのようである)である。郷土料理は一番安いのが4400円、高いものはこれにしゃぶしゃぶが付いて5000円台(2種)。和定食が一番安く2800円と判明。この最低価格を確認して扉を開けた。中は民芸調、テーブル・椅子席が56卓、23卓空いている。「予約はしていないけれど二人良いですか?」と聞くと直ぐに奥の角にある丸テーブルに案内してくれた。2階には個室があるようで、グループらしい人たちが上がっていく。土間のような1階の廻りを見ると3組(一つは一人)がしゃぶしゃぶ鍋を囲んでいる。しかし、こちらはしゃぶしゃぶを摂る気はない。郷土料理も量が多そうなので、和定食と生ビールで行くことにする。
正確には覚えていないがメニューは大たい以下のようなものであった:突き出し数種(いかの粕漬やひじきに魚の胆を和えたもの、があった)、旬の刺身(喉黒はなかった)、手作りのあんかけ豆腐、ここまでは冷たい料理ばかり、ダーッとテーブルの上に並べられる。あらかじめ作り置きが見え見えだ(合理的であるが・・・)。メインは子持ちカレイの煮つけ、これは卵の部分が多く、美味しくいただけた。あとはご飯とご当地の漬物(ラッキョウがあった)、味噌汁(魚のあら)、デザートとなる。まあ、値段を考えればそれほど悪くはないが、鳥取の味が何であったのかは判然としない。
帰宅後この店を調べてみたところ日本における“しゃぶしゃぶ元祖”とあった。皆さんそれを食べに来ていたわけである。客の出入りを観察していて気が付いたのは、ビジネスマン風の男性一人客が多かったことである。ホテルで紹介されたに違いない。
これが今度の旅の“最初の晩餐”であった。

写真は上から;鳥取駅周辺図、ホテル自室からの眺め、駅前のモニュメント、たくみ割烹店名刺

(写真はクリックすると拡大します)

次回;砂丘まで


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