-80yrs Memorial Run to The Northernmost-
19.フェリーらべんだあ
乗船のラインに並んでいると年代物(1960年代)のマツダコスモスポーツ(ロータリーエンジン車)が何台もやってきた。どうやらグループでツアーをしてきたようだ。北海道をクラシックスポーツカーでツーリングする。良い趣味だ。
フェリー“らべんだあ”は総トン数;1万4千トン、全長;約200m、速力;25ノット、トラックを主体に200台、人員600人を運ぶ堂々たる大型船だ。私はクルージングの経験はないが、宿泊を伴う大型フェリーは何度か利用している。いずれも古さを感じることは無かったが、この船は2017年就航と言うこともあり飛び切り新しい。
乗り込む前に交通整理の担当者が地上高を測り「かなり凸凹しているのでゆっくり行ってください」との注意がある。3時半頃所定の位置に停めて、フロントのある5Fでチェックインを行い、さらに1階上の船室に向かう。客室は623号室、客室配置としては最上階だ。部屋は左舷側ツィンベッドルームで、往きと違い少し狭いが専用デッキがあるのが良い。やがて別乗船だった家人もやって来る。
5時出港まで1時間くらいあるのでしばし休憩。これからしばらく運転しなくていいと思うと何となくホッとする。それくらい今回は走り回ったと言うことである。出港時間近くになったのでデッキに出てみると、雲間から夕日が差してきている。上手くすると7時頃どこかで落日が見えるはずである。
定刻小樽フェリー港を出港した船は先ず北西に進路を採り積丹半島を左舷に見ながら徐々に半島を反時計方向に迂回して行く。既に出港時からレストランがオープンしているので、少しいつもの夕食時間よりは早いが出かけてみる。
今まで乗船したフェリーの食事はすべて同一価格のバイキング方式だったが、ここは好きな料理を選んで最後に精算するビュッフェ方式。無論渇望する生ビールもある。団体客が乗船していないこともあるのだろう、席も余裕があって直ぐに西の海側に確保できた。太陽はたなびく雲に隠れているものの、切れ目から陽光が差し、夕日の沈むところをじっくり眺めることが期待できる。
食事を終えて後甲板に出てみる。左舷後方には二日目訪れた神威岬が遠望でき、西側には雲の下から、赤い太陽が顔を出し始めている。先へ延びる雲は薄くなっているので日本海に沈むそれを確実に眼とカメラに収められそうだ。まだ時間はあるがデッキの好位置でそれを待つ。誰も考えることは同じ、続々と乗船客が甲板に出てくる。カップルあり、小グループあり、独り者あり、我々のような老齢者夫婦あり。
ついに雲が切れ赤く丸い火の玉が現れる。皆の姿が西日に神々しく輝き、感動の声をあげる者さえいる。完全に太陽が没するのはそれから10分くらいだったろうか。とにかく何度もシャッターを切った。
部屋に戻るともう薄暗くなった海上に明かりがちらほら見え隠れする。漁火なのかそれとも青森沿岸の街明かりだろうか。さらに暗くなってもそんな明かりが時々現れる。
往路の船では海上は穏やかだったが、寝ていて揺れをかなり感じたが、今回はそんなことは微塵もなく、帰路と言う安堵感もあって熟睡する。
船室は東側に在る。翌朝部屋が明るくなったのでカーテンを開くと丁度日の出の時刻、遠い島影(多分粟島)の一部を浮かび上がらせながら、昨夕沈んだ太陽がこちら側から顔を出し、みるみる周辺が明るくなっていく。こんな時「船旅も良いな~」としみじみ感じる。9時丁度“らべんだあ”は新潟港に接岸した。
写真は上から;コスモ、らべんだあ、小樽出港、神威岬、夕日3葉、朝日
(写真はクリックすると拡大します)
(次回;弥彦神社)
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