19.ハルビン観光-3
6月27日(金)晴。明日朝は大連のホテルから空港へ直行だから、この日が最後の観光である。列車は13時42分発だから実質午前中のみの観光。先ず出かけたのは黒竜江省博物館、元々はロシアのデパートだったものを日本統治時代博物館に転用、共産中国になってもそれが継続された保存建造物である。何カ所かの都市で博物館を見物したものの、地方史を知る上ではそれなりの価値はあるものの、国内を含め、個人的には科学博物館や交通博物館にしか興味のない私にとっては時間の浪費に過ぎなかった。むしろ、この博物館が在る紅博広場(日本統治時代は単に大広場)周辺にかつて存在し、対ソ諜報活動の拠点であった、日本総領事館や陸軍特務機関のその後を知りたかったが、それは叶わなかった。と言うのも、このツアー参加以前に読み終え<今月の本棚-203(2025年9月12日6月)>で紹介した「消された外交官宮川舩夫」の舞台だったからである。宮川総領事は最後の総領事として日ソ停戦交渉に臨み、外交官でありながらモスクワに連行され獄死(スパイ容疑、ソ連崩壊後名誉回復)した人物。まあ、近くを訪れることが出来ただけでも良しとしよう。
次に訪れたのは中華巴洛克(バロック)街。ここは面白い歴史を残す場所。ロシア人の街を見よう見まねで中国人が作った街、一見外観は西洋風ながら、ファサードをくぐり中庭(四合院)に至れば中国そのもの、建物もよく見ると華洋折衷。中華巴洛克とはよく名付けたものだ。建物の銘板などを見ると漢字・キリル文字・ローマ字混在、ある意味ハルビンが古くから国際都市であったことの証になっている。
実は、一時期かなり荒廃した街になったようだが、2000年代半ばからハルビン市政府によって修復・保護事業が進めら
れ、「老道外中華バロック歴史文化区」として再開発が進み、観光スポットとして再興した場所、現在もリノヴェーションが進められている。
このあとは昼食。比較的駅に近い、何か街全体が安っぽい感じのする所で食した。店の名前は「老昌春餅」、意味からすると春巻き店だが、食したのは普通の中華の印象だった。この名前他所でも何回か見かけたのでチェーン店かもしれない。バスに乗ると雨がぱらついてきた。今度の旅で初めての雨だ。幸い駅前の駐車場に着いた時にはほとんどやんでいた。
写真は上から; 中華巴洛克街入口、市歴史建造物銘板、百年老店ビル入口、四合院(中庭)、キリル文字・漢字併記のビル、華洋折衷の街並み
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