2010年11月25日木曜日

黒部・飛騨を駆ける-2(糸魚川街道・親不知付近)

 入手して3年目、初回の車検までに1万6千5百km強を走った。専ら楽しみとしてしか乗らないわりに、距離は伸びている。その車検を済ませた翌日、10月19日7時自宅を出発した。天気は曇りだが、雨になるような重さはない。ルートはナビの推奨する第三京浜用賀・環八経由を避けて、距離的には近い、横々→保土ヶ谷バイパス→16号線→八王子バイパス→中央道八王子ICを採ることにした。案の定、保土ヶ谷BPの中ほどから渋滞が始まり、それは橋本五差路を過ぎるまで続いていた。結局中央道にとりついたのは9時少し前、2時間近くかかってしまった。最近のインターネット・ルート案内は蓄積された渋滞情報を考慮しているようだ。帰路はカーナビの指示に任せてみよう。
 幸い中央道に入ると走行車線は連なっているものの、追い越し車線は間が空く。特に、八王子から大月辺りまでは山間部の登りになるので、パワ-・重量比に優れた車にはその持ち味を遺憾なく発揮できる。注意すべきは覆面パトカーと甲府盆地内平坦路のスピード・ガンだ。最初の休憩地、双葉SAに着いたのは10時だった。この頃になると天気も薄日に変わってきた。チョッと残念なのは、中央アルプスや八ヶ岳が遠望できる道筋なのに高い所が雲・霞でそれが楽しめないことであった。
 岡谷JCTで長野道に入り途中の梓川SAで昼食。豊科ICで自動車専用道と別れ、いくつかの県道を経て信濃大町の手前で国道148号線(糸魚川街道)に入る。ここまでは山間ではあるが安曇野の平地が広がっている。白馬の少し手前に分水嶺があり、そこから日本海に向けて姫川が流れ出す。川の流れに沿う平野が狭まり、道路も鉄道(大糸線)も川と絡みながら北へ向かう。山の上部が紅葉していることを期待していたが、猛暑の影響かほとんど緑のままである。
 道の様子が変わってくるのは白馬をしばらく過ぎてから。山が川に落ち込む斜面に棚状に作られた部分が多くなってくる。アップ・ダウンが激しくなり、“路肩注意”が目に付くようになる。これは単なる警告ではなく本当に傷みの激しいところがあり、片側交互一方通行で補修中の所さえあった。
 南小谷の道の駅で一休みすると、その先の道はさらに厳しさを増す。落石・雪崩除けの長い洞門(道路に屋根を架け、谷側はアーチ状の明かり採りがある)が頻繁にあらわれる。それも傾斜の変化と曲がりが続くので、急変する光の強さも相俟って、トンネル以上に運転に気をつかわなければならない。こんな道が新潟県との県境、葛葉峠を超すまで10km近く続いている。狭隘な谷が開けてくるのは日本海まで僅か5km位の、根知と言う所からだ。
 糸魚川からはトンネルばかりの北陸自動車道に入らず、旧道(国道8号線)を走った。直ぐに、仕事で何度か出かけたことのある電気化学の工場がある青海を過ぎ、やがて親不知の地名が見えたので道の駅に車を停めてみた。30年位前の夏休み、赤倉の保養所から家族で出かけてきた記憶を辿るのだが、どうもあの時の凄みのある荒波に洗われる海岸が蘇ってこない。あの日は雨天だったからかと思い返してみるのだが納得できない。止むを得ず先へ進むことにする。するとここにも、先ほどの糸魚川街道同様長く、曲折する洞門が待ち構えていた。洞門の中で補強工事が行われており、大型トラックが長い列をつくっている。その洞門を出た直後、海岸方面へ向かう分岐路が現れたので、そこを下りてみると海岸に少し突き出た小さな駐車場があった。車は一台も停まっていない。そこから来し方を振り返ると、あの険しい山が海に落ち込む親不知・子不和の海と長い洞門が在った。しばしその景色を堪能、宇奈月温泉到着は4時。距離計は16,919km、約420km走ったことになる。この日のドライブはまるで“洞門ドライブ”と言ってよかった。
(次回;宇奈月温泉、黒部渓谷)
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