2011年1月31日月曜日

黒部・飛騨を駆ける-8(最終回);黒部アルペンルート

 黒部アルペンルートは富山と大町を各種の乗り物を乗り継いでつながる山岳観光コースだ。自家用車で走れるところは限られており、一気に走破することはできない。20年前に一度富山から大町へ抜けたことがあるので、今回は“黒四”に焦点をあて、大町側から立山(雄山)直下の室堂まで往復することにした。前日の宿泊先は大町温泉のプリンスホテルである。この系列(西武)のホテルは前のオーナーが嫌いで今まで宿泊に利用したことはないのだが、それも不祥事件で失脚したし、たまたまインターネットで条件が合うところとして選ばれたのでここに決めた。夕食の時間割り当てなどみていると団体客が主体のようで、翌朝ロビーには大量のダンボ-ル製りんご箱が積み上げてあった。中国人観光客のお土産である。
 今日は帰路を除けば車で走るところはほとんどない。大町側の黒四への基点、扇沢から室堂まで関西電力の系列会社が運営する各種の乗り物を利用するしか術はないからである。前日フロントに聞くと「室堂往復なら9時までには扇沢を出て、3時頃戻るのが適当でしょう。朝は混むので少し時間に余裕をみて早めに。往きは観光せず出来るだけ早く室堂に達し、帰りを楽しまれると良いでしょう」とのこと。雲が低く垂れ込める中を扇沢に向かう。標高が1500m近くあるので周辺の紅葉が美しい。以前来た時に比べ見違えるように立派な駅舎ができている。付帯する駐車場は有料だが、その少し手前にある市営駐車場は平日無料なのでそこに車を止める。
 このルートの楽しみはいろいろな乗り物にある。中でも日本でここでしか乗れないトロリーバスがその代表と言える。ルートは完全にトンネル(6.1km)の中、黒四最大の難工事(工期7年)だったフォッサマグナの破砕帯もここにあるが、今では所要時間わずか15分で抜けてしまう。幸い晴天ではないが、雲はだいぶ高くなり周囲の景観がはっきりしてきている。
 次いで満々と水を湛えるダムの上を歩いてケーブルカーの駅に向かう。このケーブルカーで約400m上ると黒部平に至る。ここから先はロープウェイ(定員80人)になので順番待ちになる(ケーブルを降りると整理券をくれる)ので、雄山(立山連峰の主峰)をバックに記念撮影している人が多い。この辺までくると木々は減り褐色の山肌が目立つようになる。ロープウェイは1.7km(支柱なしで日本最長)ありここでさらに500m上るので終点大観峰からの後ろ立山連峰の山々が間近に見渡せる。ちょっと展望テラスに出てその迫力のある絶景を楽しみ、再びトロリーバスに乗って室堂ターミナルに向かう。このルートも全線トンネル、トンネル内駅の階段を上り表へ出る目の前に標高3003mの雄山が聳え立っている。到着したのは11時だった。
 昼食までの約1時間半、周辺のみどりが池、みくりが池、地獄谷などを散策したが、この高さ(2500m)までくると低木と岩ばかりで紅葉を楽しむ機会はなく、山歩きの雰囲気になる。
 混雑する室堂ターミナルの食堂で昼食を採り、1時過ぎのトロリーバスで来たルートを戻った。難所はロープウェイで、ここではどうしても待ちができる。この時間帯は団体客が多く、われわれは韓国からの観光客と一緒になった。ロープウェイに乗り込む際、我先にと前方の窓際に集中したので、ロープウェイがグーッと前方に傾いだのには驚いた。
 ホテルの助言どおり黒部湖ではたっぷり時間を取り、紅葉を愛で、湖からダム下流まで一望できる展望室でのんびりと過ごした。残念ながら豪快なダムからの放水は10月初旬で終わっていたが、ダムを眺め、あの時代の元気な日本をしばし想い起こしながら、この旅最後の観光を終えた。
 扇沢を2時半に出発、大町から豊科に出て、中央自動車道を経て自宅到着は8時半、全走行距離;1034kmのドライブ。ガソリン消費量は95.4L(燃費;10.8km/L)であった。
(“黒部・飛騨を駆ける”完)
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