2011年8月7日日曜日

道東疾走1300km-6;フラノ寶亭留

 富良野でどこへ泊まるか?市中のビジネスホテルは避けたい。リゾートホテルだが団体の来ないところにしたい。出来ればお花畑を見渡せるような。当日・翌日のスケジュールから、メインの花人街道からあまり離れたところでないほうがいい。食事付にしたい。それも評価の高いものを。などなどの条件で探し当てたのが“フラノ寶亭留(ホテル)”である。客室わずかに25室、前庭はラベンダー畑、ディナーはフランス料理とある。Webでの口コミ評判も良い。それだけに人気があるようで、7月で空いているのは7日に一室だけであった。全てのスケジュールはこの日を基点に決められることになる。
 このフラノ寶亭留は、第一寶亭留チェーンと言う道央中心に展開されている地元資本のホテルグループに属するのだが、もともとは札幌郊外定山渓の旅館から発しており、チェーンと言っても定山渓・富良野のほか支笏湖とニセコの四ヶ所だけで、いずれもこじんまりした経営に徹しているようである。事前の情報収集で一度電話したときの感じは、ちょっと垢抜けないが丁寧なものだった(特にルートとよそ者のスーピド違反に対する注意)。高級ホテルにありがちな、慇懃無礼な冷たさが全くなかった。
 所在地は富良野の中心から北東に車で10分くらい。東に向けて傾斜する丘の中腹にある。付近にほとんど建物はなく、宿泊部分は3層、共通部分(レストラン、休憩ロビーなど)は2層、色調は鈍い褐色タイル張りの佇まいが、周りの風景に良くマッチしている(写真右)。西(丘側)を向いた玄関前が広く開けた車寄せ・駐車エリアだが白線などは描かれず、女性の受付係が玄関脇のスペースに誘導してくれる。レセプション・ロビーは玄関と同じ三階に位置し、東面はガラス張りなので十勝連峰が頂を雲に隠しながら遠望できる。それを見渡す位置に置かれた細長い自然木一枚板のテーブルで記帳していると、受付係が「今日は今年一番の暑さです。このシーズン、滅多こんなことはありません」と言う。北海道に到着来「意外と暑いなー」と感じていたが、やはり異常なのだ。
 部屋は全室東向き、広さも充分。なかなか凝った作りで特に浴室・浴槽がユニークだ(浴槽は卵を縦に半分にした形状)。傾斜する広い前庭には一面のラベンダー畑が広がる。上から見下ろすと花の開花状態がちょっと抑えられた感じだが七分咲きというところか(写真左)。大浴場もあるが部屋で一汗流してレストランへ。
 レストランは建屋南側半分の上階部分、宿泊客は全室ツインでフルに居たとしても50人、遅めの食事も可能だから、6人のグループが目立つくらいで落ち着いている。すだれの様な間仕切りで区切られた一角に席が設けられていた。ウェイターは皆若いが、よく訓練されている。メニュー(写真下)は予約段階で決まっていたフレンチだが、詳細は直前に知らされた。完璧なフルコースである。食材は基本的に全て地元産。メインをステーキにしたので赤ワイン(グラス)で始める。料理の質・量(多すぎないことが必要条件)、供されるタイミングも良い。「ステーキはレアーがお勧めです」と言う。初めて試してみたが、その通りだった。
 食事を終え部屋で一休み。酔いが覚めたところで大浴場へ。露天もありここでは上手く和風が生かされている。部屋へ戻ってビールを飲もうと思っていると、タイミングよく夜食(と言っても小さな寿司(鮭)二貫)をもってきてくれる。
 空調を止めて10時過ぎ就寝。さすがにその後はバタン・キューだった。
 翌朝はどんよりした天気。十勝の山々の上を足早に黒い雲が通り過ぎていく。朝食前にラベンダー畑を散策していると、ポツリポツリと落ちてきた。朝食を摂るころになると、雨は激しさを増していく。快適な一夜を過ごしたが、出発はチョッと残念な気分になってしまった。長丁場の行程が気がかりだ。

P.S.:滅多に無いことだが、このホテルに着替えの下着類を風呂敷包みにまとめたものを、抽斗の中に忘れてきてしまった。気がついたのは網走のホテルへチェックイン後である。直ぐに電話をすると、既に回収されていると言う。こちらは自宅へ回送を頼んだが、「道内と本州では料金が大幅に違います。これからの宿泊先を教えていただければ、そこへお届けしますと」と言ってくれた。結局最後の宿泊地、新得でこれを回収することが出来た。こじんまりしたホテルの良さと言えよう。

(次回予定;ファーム富田)

(写真はクリックすると拡大します)

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