2012年3月25日日曜日

工房フォトギャラリー-9;ソ連空軍初等練習機に乗る


  
河川敷飛行場に戻ると、ロルフが「もう一機のヤツに乗るか?」と聞いて、屋根と柱だけの吹きさらしの格納庫の隅の方に向かう。ついていくとそこには操縦席が赤いキャンバスで覆われ、濃緑色に赤い星マークが描かれた、ソ連空軍の初等練習機、YAK-18が置かれていた。操縦席の下にはご丁寧に、キリル文字で何やら書いてある。下段が“ロルフ(Rolf)”。同好の士との共有物なのだ。
このYAK-18はソ連オリジナルではなく、1960年代から中国でライセンス生産され、実用に供されていたもの(BT-6;雛鷹)が民間に放出され、それをレストアし、今は航空ショウなどでデモンストレーション飛行や模擬戦を行ったりしているとのこと。従って計器版の文字は新中国漢字で書かれていた。
先ほど乗ったセスナとは大違い。機内はスパルタンな雰囲気で、構造材の骨組みが直に見える。風防は隙間だらけ。座席位置はタンデム(前後)でお互いのコミュニケーションはインターフォーン経由になる。それもチャンネル切換え式だ。彼が前席、私は後席だ。「さっきのセスナとは違うから、操縦装置には絶対触るなよ!」
滑走路の半ばで離陸し、周回して滑走路上をローパス、いきなり旋回して急上昇。一直線に延びる米加国境上をしばらく東に向かう。国境の両側は深い森林地帯だ。「ここで落ちたらしばらく見つからないぞ!」
カナダの森林地帯に戻って急上昇・急降下、さらには宙返り。果てはバレルロール(横回転を連続する)まで行う。「大丈夫か?」「OKOK!」 肩から締めるシートベルと構造材に捉まるしか身体を保持する手立てがないが、不思議なもので、ジェットコースターで体験する恐怖感は無い。
自宅の上を飛んで、家族が庭へ出てくるのを確認して帰途についた。わずか30分程度の飛行だったが、軍用機の機敏な動きを体験した貴重な機会であった。
(写真はクリックすると拡大します)

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