2013年7月26日金曜日

美濃・若狭・丹波グランド・ツアー1500km-19


15.丹後半島
半島を巡るドライブはどこも楽しい。歴史的に主要な交通路から外れているので、比較的景観や生活環境が昔のままに残されているからである。一方このことがその地に住む人にとっては不自由なことではあるのだが…。私の気分転換ドライブ・ルートで最も頻繁に走るのが住まいに近い三浦半島である。都心に近い小さな半島だが、横須賀線・京浜急行から外れた、半島南西部(剣崎・城ヶ島・荒崎など)はいつ出かけても心が洗われる。また、若い頃勤務した和歌山は日本最大の紀伊半島の一角を占め、当時もその後も、内奥部・沿海部を何度も走っているが、まだまだ面白いところは多々あり、クルマ(それしか手段がない)で旅をするには最高の場所である。
丹後半島は、和歌山勤務時代の40数年前小浜に泊まり、天橋立観光後、半島の根元を横切って久美浜湾に出てそこから鳥取まで行っているのだが、海沿いの道を一周することはしていない。今回はそこがポイントである。特に日本海に突き出た経ヶ岬からの景色に期待した。
天橋立出発は1345分。予定よりは15分遅いが、17時の旅館チェックインには問題ないだろう。半島周回路である178号線に出ると前を“経ヶ岬”と行先表示したバスが走っている。しかし半島への分岐点で本来右折すべき道を直進して行ってしまった。どうやらバス路線は海岸ルートではないようだ。


やがて天橋立の北の接続点、府中を過ぎるとあとは右に若狭湾を見ながら片道1車線の道が続く。しばらくは民家や商店が散在するが、海側の展望を遮るほどではない。空は午前よりは明るくなってきているものの依然曇り、青い海と空を愛でることは出来ない。経ヶ岬までの観光スポットは海から漁船をそのまま家の中に引き込む舟屋で有名な伊根くらいだが、出発が遅かったのと経ヶ岬観光が今ひとつ先が読めていないのでパスした。伊根から道は海岸を離れやや山側に切れ込み、アップアンドダウンがきつくなる。しばらく進むとバスの終点兼方向転換場所が現れ、そこから国道を離れて岬の駐車場へ向かう道に分け入ると直ぐ目の前に小山が現れ、その下が駐車場広場になっていて、ワゴン車を含む数台の車が駐車しているが何かうらぶれた雰囲気だ。仕事の途中に立寄ったと思しきダークスーツの数人の男がシルバーのセダンの周りにいるだけ。他の人達はどこに居るのだろう?
トイレの側の案内図を見ると前の小山の頂へ登る道とその先の灯台への道が在ることが分かる。どうやら他の人達はそこへ向かったらしい。山の頂までは300m位の距離だが、急な山道で足下も悪い。しかし、ここまで来たからにはと思い樹木に押し倒された手摺を伝って何とか頂上に辿り着く。一帯は木々に覆われてすこぶる視界が悪い。“くたびれ儲けの骨折り損”とは当にこのことだ。下にある灯台へ行くと帰りの登りがきついので諦める。期待していた“日本海に突き出た半島の先端からの雄大な眺め”は一気に失望に転じた。 観光開発者のセンスの無さに(駐車場のレベルで周回歩道を造るべき)、この地が寂れているのは当たり前だと思った。
岬の駐車場をスタートしたのは15時半。半島の西側に沿う道はしばらく南西に向けて下り網野と言うわりに大きな町を経て久美浜湾に至る。ここからナビは178号線を離れ京都府と兵庫県の県境、三原峠を越える地方道を指示してくる。薄暗くなってきた山道を走るクルマは全く無い。思わぬところで山岳ドライブをすることになるが、自分の位置がまるでつかめない。二つ目の峠、飯谷峠を下ったところでやっと人里に出て“城崎”が道路標識に表われた時にはホッとした。城崎大橋を渡り駅前を通って旅館に着いたのは1715分、予定の15分遅れであった。
(写真はクリックすると拡大します)


(次回:城崎)

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