2014年3月29日土曜日

フランス紀行 南仏・プロヴァンス・パリを巡る-(38;最終回)


21.ツアー総括
昨年帰国1週間目の1012日から連載を始めたこのフランス紀行も、前回の“パリ雑感”でツアー紹介を終えた。6年ぶりの海外旅行が個人ツアーでなくグループパックツアーになった経緯は早い段階で述べているので、ここでは総括としてその評価をしてみたい。出発から添乗員付きの旅は厳密にはこれが初めてだから、一回の経験でこの種のツアーを一般化できないことは予めお断りしておきたい。
個人ツアーの最大の魅力はその自由度にある。スケジュール、訪問先とルート、移動手段、食事や宿泊先、費用を思うままに決められる。意思疎通さえ自在にでき、計画立案や予期せざる出来事への対処が億劫でなければ個人ツアーが優れている。しかし問題はこの“億劫でなければ”にある。これは言葉の問題だけではなく、年齢にも大きく影響されることを、今度の旅で認識させられた。これから何度も行ける所ではないとなれば、一回の旅であれもこれもと欲が出る。日数が増えると着るものを中心に荷物が多くなる、一方で体力の低下は間違いなく進んでおり、重くて大きいスーツケースのハンドリングをすべて自分でやることはかなり堪える。パリで延泊するまではその苦労は全くなく、最後のホテルから空港への移動も、延泊ゆえバスが無いのでハイヤーを呼んでしまった。
ヨーロッパの国々は意外と英語が通じない。言葉の通じない所を個人で動き回る苦労はビジネスで何度も体験している(その点では日本へ来る外国人も大変だ)。時には危険すら感じることもあった。添乗員付きグループツアーにその不安は皆無だ。反面すべての会話を日本語で済ませることができるので、極端に言えば日本での団体旅行と少しも変わらない。“海外”ゆえに味わうある種の緊張感を欠くので、旅の楽しみが薄くなってしまう。今回のツアーで一番印象深かったのは何と言ってもパリ、その最大因子は観るべきものが多かったこともあるが、グループから離れ“苦労”を体験し対応したことにあったと思う。
大事な課題に、おカネと時間の効率がある。ただ安いことを求めるだけなら交通機関、宿泊、食事、個人旅行には超低価格旅行が可能でガイドブックも多数出ている。しかし、これは若い人の旅行スタイルだろう。そこそこの所に泊まり、まずまずの食事をする、交通機関も席が確保できて、となるとパックツアー(グループ参加でないツアーを含む)に大きな外れはないし、コストパフォーマンスや時間効率も良く、通り一遍の観光ならこれで充分である。唯一の問題は、多くの場所を回り費用を抑えるために連泊が少ないことである。
グループ旅行は団体として動くのでそれなりの気遣いが要る。今回のメンバーは49人の少人数であるうえ皆海外旅行の経験者だったので、まとまりも良くメンバー間のコミュニケーションも容易にとれた。これがもっと大人数だったらどういうことになったか、グループツアーへの不安はその点に残る。
評価決定的因子で最も重いのは“添乗員”に尽きる。今回の添乗員OSNさんは英語・仏語の他にも使える言葉があるようで、欧州全域を担当している。経験も老眼鏡が時々必要になるところをみるとかなり積んだ人であろう。しかし、我々のために全く労を惜しむところがなく、愚痴をこぼしたり、辛そうな表情を見せたりすることもなかった。経験談を聞く機会があったが、携行品の通関などで訪問地の官憲と堂々と渡り合うこともあったようだ。何事にも信頼できる添乗員、これがグループパックツアーのすべてを決める。OSNさんのような添乗員と内容が希望に合うならば、これからはグループツアーを積極的に利用しよう、と言う考えが出かける前に比べれば強まってきている。
フランスにはもう一度出かけたい。今度はパリに拠点を置いて近郊・近隣地方(場合によって国境を接する国へ)へ出かける戦跡(マジノ線、ダンケルク、ノルマンジー、ヴィシー)巡りの旅などどうだろう。これなら今回の体験をもとに個人旅行も可能な気がする。これはフランス旅行に関する総括である。
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(完)


これで38回連載した“フランス紀行”を終わります。当初は1週間に2作くらい投稿のつもりでいましたが、そのペースが維持できず、思いのほか長くなってしまいました。長期にわたりご愛読いただいたことに深謝いたします。

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