2015年9月28日月曜日

魅惑のスペイン-20


11.トレド-2
トレドの街はU字型に東から西に流れるタホ川に囲まれた丘陵部から始まった。防御は川の無い北側(U字の上の部分)だけがっちり固めればいい、天然の要害として相応しい地形を持っている。タホ川の南側は特に深くえぐれており、こちらからの侵攻はほとんど不可能である。しかし対岸からの眺めは街全体を見渡せ、トレド観光には欠かせない。ガイドブックでもそこにある見晴台へ出かけることを強く薦めている。

今日の昼食場所はその見晴台よりさらに南に上った、古い舘(やかた)を模したパラドール、Conde de Orgaz(オルガス伯爵邸)で摂ることになっている。ここ本物の館ではないが、1920年代にパラドールとして建設されただけに適度に歴史を感じさせる佇まいである。朝の不安定な天気はどこへやら、青空の広がってきた明るい日差しの下で見る建物も周囲の緑もキラキラ輝いている。

北に下る傾斜地に作られているので南側の玄関から入ると北側のロビーから旧市街が一望できる。同じフロアーに東側に広がるダイニングがありここからの景観も素晴らしい。食事はどちらかと言うとフランス風、メインには魚か肉の選択があったのでこの地で最初で最後のステーキを赤ワインで賞味することにした。格別の味わいではなかったが、景色も味の内、大いに満足した。

食後はロビーからダイニング前に広がるテラスから改めて中世トレドの全貌を目に焼き付け、バスに戻った。

毎度のことであるが、昼食のワインとバスの振動に帰路は寝台車の様相を呈していく。

写真はクリックすると拡大します

(次回;帰国の途へ;最終回)


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