2015年12月9日水曜日

四国山越え海越えドライブ-5


4.うずしお観光
半世紀前の和歌山工場時代、淡路島や徳島へは和歌山港からフェリーが出ていたから何度かクルマで渡っているのだが、鳴門のうずしおは何故か見る機会がなかった。その後も仕事で徳島へ出かけたことはあるのだが、観光はその合間に限られるので鳴門は遠かった。TVや映画で見た不思議な自然現象を是非今度のドライブで間近に体験したい。計画立案段階で観光スポットとして、しまなみ海道と並んで第一優先度とした。
他の観光地も最適な時期はそれぞれあるが“時間単位”まで絞り込まれるところは少ない。しかし、ここはそれを最も考慮しなければならない。地球と月と太陽が一直線な並ぶとき(つまり満月と新月)、干満の差が最大の“大潮”となり、大きな渦が発生するのだ。この時刻は同じ大潮でも月に寄って(厳密には陰暦)少しずつ動くので、その時刻によって観光予定スケジュールが左右されることになる。今回の場合は、鳴門の次の宿泊地は高知県の四万十、そこまでの間に祖谷・大歩危・桂浜などを訪れる予定だから、どうしても午前中の早い時間にうずしおが見られなければならない。11月の大潮は11日から18日だが、この条件に合うのは、15日(日)の8時、16日(月)の840分。これで15日(日)の出発が決まった次第である。
観光船は2社が運航しており、一社は大型船や底が一部ガラス張りになった船などを持っているが、予約が必要なのと始発が9時からとなっている。対するもう一社は小型船一隻で予約は不要、8時から随時運行となっていた。「小型船の方が渦をより近くで見ることが出来るのではないか」そんな期待から、亀浦観光港ではなく漁港から出る“うずしお汽船”を選ぶことにした。
ホテルを出たのは8時半、10分後には亀浦漁港に着き、9時出港の乗船となった。駐車場も土産物屋を兼ねた事務所も、船着き場も50m位の範囲にあるごく小規模な観光船会社。8時半の便が帰ってきたのを見ると“うずしお(船名)”は長さ20m足らず、幅も5m程度の小型船だ。定員は80名らしいが乗り込んだのは20数名。前部はガラス窓で覆われた椅子席、後部はむき出しの立ち席、乗組員が「後席の方がよく見えるよ」と言うので船尾に立ち位置を取る。
出港して5分もすると、もう早い潮の中に居る。太平洋側から瀬戸内海に向けて勢いよく海水が流れているのが分かるが、遥か淡路島の方に目をやると鏡のように滑らかだ。やがて鳴門大橋の下あたりに来たころから渦が真横に見えてくる。最初は直径5m位だが少し太平洋側に出ると船の長さの半分くらいに膨らみ、巻き込んでいく渦の深さも一段と深くなり、そこをかすめて進む船の動揺が激しくなる。水面からの高さは2~3mといったところ。すごい迫力だ!渦から少し目を離して周囲を眺めると、海峡の中央部は瀬戸内に流れ込んでいるが、鳴門側の岸に近い所は逆に流れ出しているように見える。水位差1.5mと海底の複雑な地形がこんな現象を引き起こしているらしい。大潮時の流速は20㎞/hに達すると言う。
渦の中に居たのは10分足らずだが、自然の驚異を直ぐそこ見た臨場感は忘れられない思い出になった。世界三大潮流(鳴門海峡、メッシーナ海峡;シシリー島、セイモア海峡;ヴァンクーバー島)の一つを1550円/人で楽しめた。決して高くない!

(写真はクリックすると拡大します

 (次回;かずら橋・大歩危)

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