高校生になり髪を伸ばす際初めてかかった理髪店は中学時代(御徒町中学校)の友人の店。先代からの床屋さんだ。当時この学区は成績が良く経済的に余裕があっても上級学校に進学せず家業を継ぐ友が多かった(一流大学へ進んでも結局最後は家業となる者も多い)。兄と二人で継いだこの店は、職人を4人雇うほど順調にいっていた(お得意さんは老舗の旦那や職人あるいは宝飾店のセールスマンなど)。言わば兄は社長兼営業部長(髪が薄くなると2カ月に一回しか出かけなかった。すると「本場所始まったよ~」と電話がかかってきたりした)、弟は経理部長兼技術部長)。共通の友人たちの消息、アメ横の変貌、揃えてくれていた最新のゴルゴ13、時に居眠りも遠慮なくできた、楽しく心安まるひと時だった。しかし、皆同じように齢を重ね、数年前兄さんが亡くなると、店を閉じ職人たちも一人を除いて引退した。彼はそれでも近くの同業者に頼まれ、一番若い職人(と言っても70台のXXちゃん)とそこへ移ったが、今月予約の電話すると「XXちゃんで良いかい?」との返事。いよいよ来たかと思いつつOKし、今日出かけた。理髪が終わるころやってきた彼の話は予想通り「腕が上がらなくなり、細かい作業が危なくなってきた」とのことだった。
私が和歌山工場勤務の時代、彼が一時期身体を壊した期間を除けば、入社式、結婚式、長男の小学校入学式、節目節目でも彼に整えてもらった。友人としての付き合いはこれからも続くが、我々にとって平成とは別に一つの時代が終わった。感無量である。
2019年6月12日水曜日
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