2011年9月17日土曜日

道東疾走1300km-17;ヨークシャーファーム

 最後の道東はどこに泊まるか?最終日のスケジュール、フェリーの出発時間(17時乗船)を勘案しながらいろいろ考えた。帯広、日高地方、襟裳岬などが候補に上がったが、観光スポット、食事、道路事情、時間などどれもぴったりこない。帯広周辺を当たっているとき、ガイドブックでフッと目にしたのがヨークシャーファームである。“子羊料理のレストランでペンション併設”とある。場所は新得だから、帯広に泊まって夕食だけとはいかないが、此処なら翌日の選択肢がいくつも選べる。Webで調べるとホームページ(HP)があり、当地出身者でサラリーマンの経験もある人が、郷里に帰り“英国の農場B&B”風を目指して始めた所と分かった。コッツウォルズで泊まった歴史のある旅籠(羊亭)を思い出した。口コミの評判もいい。とりあえず予約した。ディナーにラム料理を指定したことは言うまでもない。
 予約の仕方がチョッと変わっていた。インターネットで予約すると折り返しOKの返事が来たのだが、支払いはクレジットカードはダメで銀行カードか現金で支払い。予約金を指定期日までに指定銀行・信用金庫へ払い込むようになっている。チョッと不便に思い、HPを操作していると、英語で書いた予約ページが現れ、ここではクレジットカードがOKなのである(英語のスペルに誤りがあるのも手作り感覚でご愛嬌)。確認のために電話してみると「あれは外国からの予約に応えるためのものです。国内の方は振込みでお願いします」とのことだった。
 場所は新得の町(駅)の少し北、国道38号線に面しているが、母屋までは少し距離があるので車の往来が気になることはない(写真右上)。敷地へのドライブウェイは砂利道だ。一階はレンガ調、二階は白壁、屋根の色は灰色の建物が緑の中に佇んでいる(写真左)。裏は広大な羊牧場が遥か先の森まで続いている。外見は確かに英国を髣髴させる。中へ入って「ちょっと違うな」と思ったのは内部の壁や仕切りに、コンクリートブロックがそのまま使われていたことである。英国ならばここは石積みだ。
 一階はロビー、食堂や調理室などコモンスペース。客室は全て二階にある。部屋にはユニットバス、空調、TVも完備して快適でプライヴァシーを保てるようになっている。これなら外国人にも充分通用する。
 夕食は7時から、名物のラムステーキをメインとするフルコースだ(とは言っても、あとはパン、スープ、スモークサーモン付きのサラダ、デザート、コーヒーだが)。このステーキ目当ての、食事だけのお客さんも居るようだ。外国人を交えたグループ、土地の人と思しき家族連れでレストランはほぼ満席になっている。
 ステーキは量と言い味と言い申し分なかった。給仕をしている娘さん(多分オーナーの次女;HPによればこの人が跡を継ぐようだ)に「期待通りだったなー」と言ったところ「アー、良かった!」といかにも嬉しそうな笑顔で応えてくれた。家族経営の良さが伝わる瞬間が、こう言う所へ泊まる楽しみの一つである。
 翌朝部屋が東向きだったので、明るい陽光で早く目が覚めた。朝食前に農機具小屋で長靴に履き替え、露に濡れる牧場を散歩した。羊たちは毛を刈られ丸裸。まるでヤギのようだ(写真右)。牧場の外延を西欧人の女性がジョギングしている。母屋近くの木からおばあさん(多分オーナーのお母さん)がブルベリーのようなものを摘んでいる。聞くと“ハスカップ”とのこと。聞いたことも無い果物?だ(あとで調べると、アイヌ語で“ハシカプ”)。これをジャムにして朝食に供するのだと言う。数々の手作りサービスに感謝。

P.S.7月8日網走へ発つ朝、フラノ寶亭留に下着の着替えを風呂敷包みに入れたまま、部屋に忘れてきた。網走のホテルから電話し、ヨークシャーファームへの転送を頼んだ。チェックインのとき無事回収できた。回送料は950円也。

(次回予定;パノラマ・ロード)
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