2013年11月3日日曜日

フランス紀行 南仏・プロヴァンス・パリを巡るー(9)


9.ニースのホテルとレストラン
ツアーの良さを体験したのは、成田で預けたスーツケースをニース空港のターンテーブルでチョッと指差しただけで、ホテルの自室で受け取るまで触らなくて済んだことである。しかしその直後ポーターが去ったあと「一体これはどうなっているんだ?!」と声を上げてしまった。木目調の床がベコベコなのだ。合板に木目を施し、それらしく見せるのは、いまや自宅を含めてどこでも目にするが、これほどの安普請はまずお目にかかれない。旅行パンフレットには「いずれのホテルもスーペリアクラス以上」とあったはずである。公的な言葉ではないようだが、今まであちこち旅をして、普通より上(5点評価では4点位)のイメージを持っていた。部屋へ入り床を歩くまではそれなりの雰囲気だった。
泊まったホテルは残念ながら海岸に面してはいなかったが、海岸から二筋くらい中に入り、正面には広場(公園?)が在り、周辺も整った建物ばかりで環境は申し分なかった。名前はNHホテル、あとで聞くとスペイン資本でヨーロッパを中心に展開しているチェーン店の一つとのこと。建物は近代建築(海岸通の伝統的な造りよりは軽い感じ)、フロントもロビーも清潔で広々していたので「ツアーならこの程度でマアマアかな」との第一印象。部屋も床を除けばマズマズだったのだが・・・。
5時半頃にホテルに着き、6時には夕食のためにロビー集合なので荷解きと洗面くらいの時間しかない。ロビーに降りると直ぐに添乗員に事情を話し、部屋を変えてくれるよう求めた。返事を聞いて驚いた。「そうですか。前回もそんなことがありました」と。彼女が直ぐにフロントに掛け合ってくれていると、グループで最高年齢、80歳のおじいさんとその奥さんが話を耳にしたようで、「私達の部屋も同じでしたよ」とのこと。そこへ戻ってきた添乗員が「申し訳ありませんでした。お部屋はダブルならご用意できるそうですが、ツインは空きが無いそうです」とのこと。そして「あちこちの部屋でその問題が出ており、今年の冬全館改装にかかるそうです」と言う。別の部屋に変わっても程度が違うくらいだろう。部屋は変更しないことにした。旅の最後にホテルやレストランのランク付けがあったので、このホテルを“最悪”の評価にした。
ディナーを摂るレストランは徒歩で行ける所にあった。チョッと路地を入る感じが好奇心と期待感を掻き立てる。店の名は「La Mets Provence」(意味は“プロヴァンス料理”らしい)。店に入ると直ぐに「オヤッ?」と思った。一階の席には全く客が居ない(これは良くないサインだ)。「時間が早いせいだろうか?」 案内されたのは2階、何と4,5個の丸テーブル(8,9人座れる)が埋まり、全て日本人である!既に食事中の彼らが「また日本人か!」と言う目でこちらを見つめている。
家族・個人旅行でも現地ツアー・プログラムに組み込まれ、何度か他の日本人グループと一緒にされたことがある。少人数でも団体である以上、店の方も一般の客と一緒は困るのだろうが、これほど日本人ばかり集まっては海外旅行の楽しみが半減してしまう。
メインは子牛肉の料理だったが、旅行パンフレットの“ニース風サラダをお楽しみください”はレタスやトマトの上に缶詰のツナをのせたもの。ほとんど皆が「エッ!」と言う表情。「うちで食べてるのと同じ」と言った人もいた。肉料理と赤ワインはともかく、フランス第一夜のディナーは見事に期待を裏切ってくれた。個人旅行をしていて適当なレストランを探すのも大変だし、当たり外れもあるが、その方が“旅らしさ”を味わえる点でましである。
昨日成田を経ってから機内で5時間くらい寝ただけの長い一日でヘトヘト。9時前に部屋に戻り、明日の早い出発に備え荷物の整理をし、風呂を出るとベッドに直行、幸い床のベコベコなど全く気にならず爆睡した。
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(次回;マルセイユへ)

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