2014年1月8日水曜日

フランス紀行 南仏・プロヴァンス・パリを巡る-(24)



19. TGVに乗る-2
10時14分発の列車は定刻通りに到着した。列車番号6112、編成は8両で我々の車両は7号車、座席番号は51だが、前後どちらから乗車するのがいいのか分からない。後ろの方はスーツケースを持ったアメリカ人団体客が集まっていたので前方乗車口から乗り込んだ。それが正解だった。デッキから数段下りて1階車室に入って席を探す中の方に進む内、中央部に壁がありそこから先には移動できない!席はその手前に二人ずつテーブルを挟んで向かい合わせのつくりだ。しかし部分的に二人で進行方向を向いたものもある。
それにしてもこの壁は何のためにあるのだろう?通行客が居ないのは落ち着くが、何かトラブルがあったら逃げ場がない。低位置のため外の景色が今一つなこともあり、終始気になって仕方がなかった。先ず考えたことは、車体の補強;しかしもっと負荷がかかる旅客機さえこんな壁は無い。次に浮かんだのは、欧州の鉄道システムは駅の改札システムがないことだ(自分で日時刻印器に切符を通すだけ;前号の切符の写真の左端に小さな字で縦に刻印)。切符なしで列車に乗ることは誰にも可能だ。そのために車内改札があるのだが、上下両方に通路があるとそれをかわすことがし易い。これを防止するための壁ではないか?答えはいまだ出ていないのだが、それに違いないと思っている(ご存知の方は教えてください)。
座席51番は進行方向右側、北上する路線だから東側になる。10時過ぎでは太陽はそちらの方から差し込んでくる。窓ガラスの汚れがやけに目立ち、下階の展望の悪さと相まって、折角の田園疾走の快感が著しく削がれる。「空席があれば移動可」に期待したが、車内偵察に出かけた添乗員のOSNが「全然空席は在りません」と戻ってくる。
予定のパリ到着は1時ころになる。今朝の朝食まででツアーの食事は終わりなので、その後については、車内食かパリに着いてからの遅い昼食、あるいは駅でパンなどを求めるなど、参加者各自で摂ることになっていた。そして大方のメンバー(静岡から参加の母子はパリでの自由時間を少しでも活用しようとパンを用意)は車内食(ビュッフェあるいは売店)を想定して、11時を過ぎると動き出す人も出てきた。しかし「大変な行列・混雑」とあきらめて帰ってくる。これは大きな誤算だった。パリまでお預けだ。
この地中海線はパリ・リヨン駅近くを除けば専用新線である。ゆったり流れルローヌ河沿いを走ったあともフランス中央部の平原を行く。従ってトンネルもない。日本の新幹線に比べ、この点では建設もし易いし、高速運転を持続できる。時々車内でポーッと言うような音声が流れ、速度が300/hを超したことを知らせる(編成の長さと運行速度の関係を知りたいものである:8両編成なら新幹線ももっと速く走れるだろう)。その割には振動も少なく乗り心地は極めて快適だ。2等の座席配置も通路を挟んで22だから、23の我が国新幹線に比べ座席の広さに余裕がある。トイレは上下階に各々あるのも使いやすい。しかし、車両・車内の清潔さと言う点では、圧倒的に日本の方がきれいだ。また、座席を進行方向に変えられる機構などは旅の楽しさ味わう点で新幹線に丸印。
決定的に違うのは沿線の広告がパリ市内を除けば皆無だったことである。これは英国の鉄道沿線でも同じであった(英国の場合は在来線なので駅周辺や大都会周辺はごちゃごちゃしていたが)。山がちの狭い国土を走る我が国とは事情は異なるだろうが、これだけは欧州に学ぶべきと痛感した(2020年オリンピックまでに、田園・山岳地帯の大型広告を無くそう!)。
12時頃から晴れていた空に薄靄がかかり始め、パリに近づくと曇りに変じていた。リヨン駅到着は定刻通りの1時直前。正確さにおいて彼我ともに遜色なかった。車外に出ると秋の寒さに思わずブルッとした。迎えのガイド(日本人中年女性)はコート姿だった。
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(次回;パリ)

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