2015年5月22日金曜日

決断科学ノート;情報サービス会社(SPIN)経営(第Ⅱ部)-26


51990年経営トピックスー2;変化への対応
世界も日本経済も石油業を取り巻く環境も情報技術の進歩と広がりも変曲点に在ったこの時期、SPINにおける変化対応は専ら私の分担域だった。東燃グループにおける外部向け情報サービスビジネスにその助走段階(1983年)から関わってきた経験からくる経営陣の中での役割がそれをもたらしていた。4人の役員の内、SMZ社長とOMR常務は全体を見る立場にあり、同僚のMYIさんは総務(経理・人事)・営業・事務システムとグループ内サービス(清水の電算機センター)を主管、私が経営企画(商品開発を含む)・技術システムと基幹情報技術を担当していたからである。
ACSに続くものは何か?」次回の合同役員会ではこの答えを求められるかもしれないし、問われなくともネオダマ(ットワーク化・ープン化・ウンサイジング・ルチメディア)への対策は生き残りのための必須要件である。幸い、目先の経営環境(年度内の受注見通しやグループ内プロジェクト)が比較的明るかったこともあり、“次の一手”に時間を割ける余裕があったので、それに傾注することにした。
スタートは情報収集・分析である。この当時私はいくつかのIT関連研究あるいは親睦グループに属していた。先にも紹介した富士通大型機ユーザーの研究組織LS研情報システム戦略度診断分科会、化学工学会経営システム研究委員会、同プラントオペレーション研究会、それにIBM製造業ユーザーの一部で構成されるCIMComputer Integrated Manufacturing)サロン(製造業ユーザー20人弱のメンバーだがプロセス工業は私一人、他は全て組立加工業、特に自動車関連が多数を占めた。企業代表と言うより個人として招かれていた)などがそれらである。LS研ではITの最新技術とその利用動向を、化学工学会の2研究会ではプラント関連システムを、CIMサロンでは世界の製造業におけるITを巡る話題を、各社・各界の識者から学ぶことが出来た。例えば、LS研ではカネボウ、オリンパス、グローリ工業(ATM機製造)、NHK、北陸電力(降雪量からの水力発電量予測は感銘を受けた)などの先進事例を学べたし、米国を中心に進められていた製造現場における設備間通信システムMAPManufacturing Automation Protocol)や統合業務ソフトSAPR/3開発段階)とその企業像をつぶさに知ったのはCIMサロンだった。そしてプロセス特化と言う点において、最も価値があったのが化学工学会の研究会である。
化学工学会への関わりは、学術振興会143委員会(プロセス制御)→プラントオペレーション研究会→経営システム研究会の経緯をたどり、1970年代初期から関わりつい数年前まで続く、いわばホームグランドである。特に経営システム研究会はスタートアップメンバーで、この当時は情報システム研究の主査を務めていた(この他に経営戦略、研究開発に主査がいた)。この役目は1990年代中頃まで継続したので、プロセス工業におけるコンピュータ利用について、ビジネスとは関係なしに最新情報が入りやすく、特に石油・石油化学以外(東燃グループと関係が薄い)の化学企業(無機化学、特殊化学;溶剤・塗料・インキ・接着剤・農薬など、医薬品・食品、電子材料など)における利用状況や研究開発関連の話題は新鮮なものが多かった。
これ以外の情報源は米国の専門誌・業界誌;AIChE Journal(米国化学工学会誌)Chemical Engineering ProgressOil & Gas JournalHydrocarbon Processingなどを丹念に追っていった。更に、米国の製造現場では圧倒的に強かったミニコンメーカーDEC関連の情報を日本DECや友人・知人を通じて収集するようにした。ここから見えてきたのは独立系ソフトベンダーやプロセス特化したベンチャーの活発な動きと合従連衡である。


(次回;変化への対応;つづく)

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