2016年5月14日土曜日

九州遠征超長距離ドライブ(16)


13.指宿
鹿児島行を計画したとき、最後に空港へ戻ることを考えれば霧島や桜島観光中心の選択肢もあるのだが、逆方向にもかかわらず2泊目指宿は異論なく決まった。先ずドライブの視点から、長い海岸線を走る国道226号線に惹かれたが、決め手は何と言っても“砂蒸し風呂”。別府にもあるようだが知名度は断然ここである。
想像した砂蒸し風呂は、頭を陸地側に置いて目の前に広がる太平洋を見晴るかす砂浜(こんな写真を見たことがある)。このシーンを実現するには明るいうちに宿に着き、そこで“ひと砂風呂浴び”、それを話題ににぎやかな夕食を楽しむことだった。
水族館を出発して、しばらく市中の片側23車線ある広い道路を10kmくらい南下すると、道幅は狭まり片側1車線になり、防波堤が左に設けられた道が延々と続く。海岸美を愛でながらの運転を期待していたのだが、道路の位置が低く、加えて私のクルマは車高が特に低いことと相俟って、景観は防波堤で寸断される。ここは地図だけでは読み切れないところだったが、天気は良く、道も空いているのでまずまずのドライブを楽しむことが出来た。ホテル到着は5時前、外は十分明るい。「よし予定通り夕食前に砂蒸し風呂だ」
指宿の宿泊先は“指宿いわさきホテル”。口コミ情報などではこの地のナンバーワンは“白水館”らしいのだが、先の鹿児島市内同様、3連休で希望の部屋数がとれず、JTBの薦めでここにした。駐車場も、車寄せも、ロビーも広大なもので、日本でこれほど規模の大きいホテルに泊まったことがないほどに広さだ。建物の配置はY字型、客室数約300、周辺にはテニスコート、サッカー場などが配され、米国オーランド(フロリダ)のリゾート・ホテルさながらである。
チェックイン時まず問われたのは「夕食は何時からにいたしましょうか?」ひと風呂浴びてからと考えていたから「7時からでお願いします」「申し訳ありません。時間は6時からか8時からになっております」小さな子供もいるのでやむなく6時に決める。「ところで砂蒸し風呂に入れる時間は?」「10時チェックイン終了です」ここで砂蒸し風呂の利用システムを聞くと、今の時期浴場はテント張りになっており、明るい時でも砂を被りながら外の景色を愛でることはできないことがわかる(砂を落とす露天風呂はあるが)。「それなら夕食後でいいか」と自らに言い聞かせる。
案内されたのはY字の右の棟7階東向きの続き部屋。一番端の角部屋は長女一家4人用で少し広く、正規のセミダブルベッドが三つ置かれ、前夜エキストラベッドで寝た上の孫が自分用ベッドに大喜び。嬉しい配慮である。
砂蒸し風呂はともかく、先ず食事前に通常の温泉で汗を流すことにした。浴場はサンロイヤルの5倍くらいの広さがあり、露天風呂も開放感があり、洗い場も数が多く、快適な温泉気分にたっぷり浸れた。夕食も昨日と違い、半個室形式のスぺースに家族だけが集い、順番に懐石料理が給仕されるのでゆっくり寛いだ気分で団欒を楽しめた。
8時前にそれぞれの部屋に引き上げたが、次はいよいよ“砂蒸し風呂”である。ここは幼児は使えないので、我々夫婦と上の孫(8歳男児)と出かけた。海岸へ出る一画に専用の受付が在り、ここで料金(子供も同額で1000円)を払い(実際は部屋につける)、館内用浴衣とは異なる砂風呂用着衣とタオルが渡される。これを持ってロッカーで着替え、外のテント内砂風呂に向かう。テント内にはスコップを持ち長靴を履いたおじさんが数名居て、指示された場所に横たわると上から砂がかけてくれる。じわじわと下から温かみが伝わり、やがて全身がカッカとしてくる。およそ10分、あまり長く居ると低温火傷に罹る恐れもあるらしいので、やおらむっくり起き上がり、これでおしまい。砂だらけの着衣のままテント脇に在る、明るければ海を眺められる四角い大きな露天風呂に入り砂を落とす。このあと専用のシャワールームで裸にになってさらに砂を落として、湯?上りように置かれた着衣に着替えてロッカールームに戻り、さらに館内用浴衣に着替える。ここから部屋に戻っても良いが、砂風呂受付からのエレベータでそのまま屋上まで行くと露天風呂があり、ここでゆっくり身体を洗うこともできる(我々はそうした)。以上が期待していた“砂蒸し風呂”システムの概要である。得難い経験を大いに楽しんだ。
朝食は緑の庭さらにその先に海が広がる、ガラス壁面の広々したレストランでブッフェスタイル。こうやって集まってみると相当な人数が宿泊していたことが分かる。昨晩“混雑”“喧噪”と無縁だったことが信じられないほどだ。全体設計と運営方法に工夫が凝らされていることの結果なのだろう。この地を再び訪れる機会があったら、また利用したいと印象付けるホテルだった。

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(次回;知覧)

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