2017年2月4日土曜日

台湾一周鉄道旅行-13


11.高雄観光
今度の旅はタクシーや観光バスでなく、出来るだけ公共の交通機関を利用したかった。高雄のホテルはMRT(地下鉄)の真上だったから、荷物を預けた後の観光も先ずMRT三多商圏駅からスタートするつもりにしていた。事前調査でこの町の見所を巡回する安い(50元)観光ミニバスがあることは分かっていたが、間隔が1時間おきなので一か所で次のバスまで1時間つぶさなければならないのが難点だった。「MRTと路線バスで行くにはどうしたらいい?」とフロントの女性に聞くと「ここが初めての人に路線バス利用は難しいのと時間もかかるので、タクシーをお薦めします」とアドヴァイスされる。確かに持参したガイドブックの拡大地図にも北西部の海岸近くに在る旧領事館は記載されていないので、助言に従いホテル前に止まっていたタクシーを利用することにする。
タクシーで市中を15分ほど走ると港湾地区のような風景が展開するようになり、間もなく鉄門・鉄柵で隔たれた洋館の前についた。領事館の入口である。タクシー料金は180元、二人でミニバスを利用すれば100元、それにミニバス出発駅までのMRT料金もかかるわけだから、フロントのアドヴァイスは適切なものだった。
領事館エリアの門のレベルは海面に近いが本館は山の上に在る。横浜の港の見える公園に隣接する旧英国領事館や長崎のグラバー邸のある場所と似たような地形だ。グラバー邸にはエレヴェータやエスカレータが設けてあるが、ここにはそんなものはない。本館までは結構きつい上りであった。二階建てレンガ造りでアーチ状の柱を持つテラスが張り出したそれは素晴らしく見晴らしの良いロケーションにあり、最も眺めの良い部屋はレストランとして利用されている。天候が曇りなのが惜しまれるが、もし晴天ならば、明るい空、紺碧の海、赤いレンガ、白いベネチアンブラインド、緑の芝生、色とりどりの花々が一層その景観を際立たせたに違いない。あまり歴史的な遺産のない高雄で、第一の観光先としてここを挙げたことが納得できる場所だった。
下には道路に面して外からもよく見える洋館が在る。どうやらここが領事館業務を行った所のようで、清の役人と領事館員が何やら交渉している様子を実物大人形で再現展示していた。
次の目的地は第2埠頭を再開発した“藝術特区”。出口の案内嬢にバスの路線案内を乞うたところ「乗換が必要だからタクシーで」とここでも言われてしまう。
現地では“駁二藝術特区”を記されるそれは、いわば横浜の再開発されたレンガ倉庫街と同じ。旅行計画検討中からここの存在は知っていたが、屋外展示モダンアートのような写真が何枚かあったものの、その種のものに関心がなかったので、出かける予定にはしていなかった。しかし、ホテルのフロントで「英領事館の次はここがお薦め」と言われて「他にそれほど見る所もないし、昼食を摂るにはいいかもしれない」と廻ってみることにした。つまり期待するものは何もなかった。タクシーが着いたのはインフォメーションセンター前。ここでパンフレットなどもらい説明を聞くと、幾棟もある倉庫が改装して種々の店が中に収まったり催し物会場になっていることが分かった。しかし、インフォメーションセンター周辺をぐるりと外から見ても閑散としており、土産物屋や本屋などが在る程度で、これと言って目や気を惹くものは何も見つからない。丁度昼時でもありその一角にあるイタリアンレストランに入り、ビールとパスタで腹ごしらえをすることにした。やっと少し観光客らしい人々を見かけるが、皆静かに食事をしており、観光地らしい華やかさが感じられない。
食事を終わってから、いくつかある“倉庫”を見て回ったが、ブティック、アクセサリー店、画廊のようなところが在るもののほとんど客が入っていない。平日だからだろうか?おまけに港に沿う遊歩道は工事中で閉鎖されている。全体として何とも冴えない所だった。
ここからホテルまではMRT橘線(オレンジライン)最寄り駅の鹽埕浦から美麗島に向かいそこで紅線に乗換え、三多商圏に戻り3時半ホテルにチェックイン。28階の部屋に落ち着き、蒸し暑さの中の観光で疲れた身体をしばし休めることにする。

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(次回:高雄観光;つづく)

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