2017年2月10日金曜日

台湾一周鉄道旅行-14


11.高雄観光-2
私にとって海外へ出かける最大の楽しみは、現役時代の出張も含めて、現地の人々の日常生活に触れ、彼我の違いを体験することにある。最高なのは家に泊めてもらい家族と交流すること。休日に家に招待されたり、一緒にチョッとしたピクニックやスポーツ観戦に出かけたりするのも楽しい。そこまでいかなくても、彼らの馴染みの場所で食事を伴にするだけでも、旅の印象は格段に深くなる。多くはその地に知人・友人が居て実現されることだが、馴染みのないところでの個人旅行でも、こんな機会を持ちたいと常々思っている。
未知の土地でこのような気分を味わえるのは何といっても食事をするところ。ガイドブックに載るようなレストランではなく、土地の普通の人々が利用する食事処である。ただこう言うところは言葉が通じないのが難点である。たまたま前夜の嘉義では、道に迷ったおかげで、図らずもそんな体験ができたが・・・。
高雄は台北を超す人口を擁する台湾最大の大都会だが、市街に観光の見所は少ない。残るは夜の食事くらいである。どこへ行っても台湾の夜の名所は“夜市”。台北では雨にたたられ訪れることは出来なかった。昨日の嘉義では、始まるのは夜10時半頃からと言うことで諦めざるをえなかった。最後の台北は夕刻からは市外の九份(きゅうふん)観光を入れてあるし、次の花蓮は太魯閣観光で時間がとれるかどうか分からない。確実に夜市を堪能できそうなのはここしかない、と言うわけで今夜は何としても夕食は夜市でと決める。
ローカル色のあるところがいいと、ホテルでもらった地図にある近くの“興中夜市”を第一候補にフロントに相談すると「夜市を楽しむならMRTで北へ二駅行った“六合夜市”が規模も大きく、面白い」と薦められる。「観光客目的で土地の人は少ないんじゃない?」「そんなことはありません!高雄の人が一番集まる場所です」とのこと。“藝術特区”は期待外れだったが、そのアドヴァイスに従うことにする。
ホテルを出たのは5時半過ぎ、MRTを降りると既に美麗島駅から西に延びる大通り、六合二路は通行止めで屋台が道の両側にずらーっと並び、さらに歩道に面して常設の店が在る。つまり常設-歩道-(屋台-通路-屋台;この間が本来の車道)-常設となる。これが200mほどつながっているから壮観だ。常設も屋台もほとんどは食べ物屋;焼き物・炒め物・揚げ物・煮物、果物、菓子、飲み物、麺類、丼物何でもあり。店の外にメニューと値段が書かれているところが多いから、ぼられる恐れもなさそうだ。早い時間なのに老いも若きも立ち食いか小さな丸椅子やベンチに座ってそれらを食している。西欧人を含めた外人観光客も居るが、地元の人が圧倒的に多い感じだ。
一巡していよいよ晩飯に挑戦!トリ・豚・牛の屋台も多いが、やはり海鮮料理が無難な気がした。そこで鮮魚を並べた店の前で足を止めメニューを眺めていると“海鮮粥;90元”と言う表示を見つけた。言葉は通じないがそこを指さして食べる真似をすると、「奥へ行け」と常設店舗(店名“河清”)に片手を向け何やら叫び声をあげる。屋台だけでなく店も同じ経営のようだ。幸い二人掛けのテーブルが一つだけ空いておりそこに案内される。どのテーブルを見ても、各種の魚介類を48人でにぎやかにつついている。ただあまり飲んでいる雰囲気はない。粥だけ摂る客など皆無だが、店員は親切に対応してくれたし、味・量ともに満足すべきものだった。これにビール一本で240元(約1000円)。夜市の印象は、ファミレスや居酒屋とは対極にある。街全体が開放的で、皆で一緒に楽しむところに真価があるようだ(日本だと盆踊りの夜くらいか?)。地元の人々の生活の一端に触れられたこの体験「高雄に寄ってよかった」との思いが残った。

写真はクリックすると拡大します


(次回:花蓮へ)

0 件のコメント: