2017年7月22日土曜日

信長回想ドライブ1200km-8


8.金沢観光
国道359号線は金沢市内中心部をほぼ南北に貫くメインストリート。東茶屋町に隣接する市営駐車場はこの通りと直交して東から西に流れる浅野川の河畔に在る。ナビの案内で直ぐ近くに来ると「ここを左です」ときたが、そこは狭い一方通行出口、おまけに横に交番まである。入るわけにはいかないので直進、川辺にまた細い道が走っていた。ここだ!と思ったが、時すでに遅し、やむを得ず橋を渡ったところで左折する。この道も狭いが幸い対向車はなく、次の橋まで行って再び川を渡り、左折可能な所で再度駐車場を目指す。しかし、道路は各所で折れ曲がり、ほとんど一方通行だ。何とか国道359号に出て今度は川の直前で左折する。やっと駐車場が現れたが“満車”、入口で待つ車が一台。やむを得ずパスすることにするが、そこからまともな道路に出るのに、切り返し・バックの連続。他に適当な駐車場もないので、広い道に出たところで、少し離れた丘の上の卯辰山公園に向かい、そこで東茶屋町付近の広い道に面した駐車場を地図で探すが、うまく見つけられない。やむを得ずチェックインには少し早いがホテルに向かい、そこの駐車場にクルマを預ける。今回の1200kmで一番難儀したドライブはこの古い街中の運転であった。
ホテルの在る香林坊と東茶屋町はかなり離れている。一先ずホテル裏の金沢城公園の一画で前夜作ってもらったおにぎりで軽い昼食を済ませ、路線バスで東茶屋町に向かう。先ほど前を通った交番辺りが観光ルートの出入口、しばらく路地を東へ進むと案内所があり、街の由来や見所を丁寧に説明してくれる。江戸時代から焼けずに残った歓楽街ゆえ道路が狭いのだ。中心部はきれいに整備され、無論クルマは入れない。さすがにもう“お茶屋さん”はなく、飲食店やお土産物屋、あるいは工芸店(特に金箔細工)に転じているが、風情はそれらしい面影を残しているので、趣のある街歩きが出来る。そんな道筋で見つけた“森八”と言う加賀藩御用達の老舗菓子屋で一休み。外国人も和菓子と抹茶を楽しんでいる。とにかくここ金沢もインバウンドブーム、いたるところで外国人を見かける。
次の観光スポットはこの街の西に在る近江市場だが、ここは買い物と食事を楽しむ所だし、以前一度行ったことがあるので(カニを買って旅館で料理してもらった)今回はパス。
一旦バスで香林坊に戻り、ホテルでチェックイン手続きをして、徒歩圏内に在る長町の武家屋敷跡を観て廻ることにする。ここは家まで残っているところは限られているので、公開されていることがガイドブックに明記されている“野村家”を最初に訪ね、それから周辺を散策することにする。野村家は、信長の家臣前田利家がこの地に入城した時(16世紀末)からの直臣で禄高は1200石の馬廻組頭だった家である。中央部には控の間、謁見の間、上段の間(総ヒノキ造り)など在り、周辺には仏間、離れの茶室や庭を見渡す奥の間などが配された立派な作りだが、家族や使用人がどんな暮らしをしていたか推察するすべはなかった。それは本来の館が長い歴史の間に分割分譲され移築されたものを、昭和初期に上段の間を中心に復元したことに依るらしい(本来は敷地千余坪だが今は200坪程度、近代の復元故国・県重要文化財ではない)。
ここの後は土塀で囲まれた屋敷町全体を観て廻ったが、長屋門なども往時を偲ばせて、そんな中に九谷焼の工房などもあって、なかなか落ち着いた雰囲気を醸し出している。
二カ所の観光で強く印象に残ったのは、加賀百万石の伝統が今に生きているのだろうか、とにかく歴史再現に“貧相なところがない”のが、何と言っても素晴らしい。また古いものとモダンなものの共存もここほどバランスよくまとまった所を知らない。あちこちに在る自称小江戸・小京都あるいは中途半端な懐古地方創生とはそこが根本的に違う。

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(次回;ホテルとディナー)

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