2018年12月30日日曜日

山陰ドライブ1800km-16



-因幡・伯耆・出雲を走る-

17.旅を振り返る(最終回)
今の愛車を購入して丁度11年(20071030日登録)、一応目標としてきた、沖縄県を除く全都道府県走破(単なる通過を含む)を、残っていた石川県を昨年春に金沢観光に一日を当て、飛騨から越前・湖西と駆け抜けることで達成した。これからはゆっくり見たい所を重点的に巡ろうと企画したのが今回の旅である。私が直近この地方を訪れたのは、2016年春、前日岡山県の津山に泊まり、翌日今回も立ち寄った足立美術館を見学し、それから門司までひたすら走った。これで鳥取・島根・山口を制覇したが、正直なところこの地方の特色を体得したと言う感触は持てず、「もう一度ゆっくりと」の思いを残して終わった。そんな時、中国地方の日本海側を旅したことのない家人が「一度行ってみたい」との希望を持っていることを知り今回の計画が実現した。私自身はさらに山口県まで進め、津和野・萩・角島などを廻りたかったが日程の都合でそれは断念。歳を考えれば、連続走行はこの辺りが限界かも知れない。総走行距離は1,756km(。因みに、ガソリン消費量は160ℓ、燃費は11km/ℓとなり、新車時と変わらない)、これを4日でこなすのは平均400km強/日だからそれほどでもないが、初日と最終日は超長距離、特に最終日は720km近くの運転、夜になることが避けられず、これはかなり堪えた。北海道や九州ならフェリーと言う手もあるのだが・・・。
しかし、観光と言う観点でははるばる遠くまで出かけた甲斐があった。人好し、景観良し、文化・歴史良し、宿良し、食良し、さらに天候に恵まれた。特に、松江と大山はもう一度出かけたいし、一泊でなく数日滞在したいほどだ。またシーズンを変えて出かけることも考えたい。ただ、今後は空路とレンタカーの組合せとなるだろうが・・・。
人好し、に共通したのは「遠くから来ていただいて」との謝意を含んだ対応である。旅をする者、特に延々とクルマを走らせてやってきた者にとって、これほど癒される言葉はなかった。
景観良しは、日本離れした鳥取砂丘、紅葉の大山、それに宍道湖の夕日が印象に残る。あまり有名ではないが、砂丘の東側につながる浦富海岸(リアス式海岸)も立ち寄って良かった(ビジターセンターのおばさんが丁寧に見所を教えてくれたおかげもある)。
文化・歴史よしは、倉吉の赤瓦の町屋と白壁土蔵群、松江城とその城下や小泉八雲関連、それに出雲大社が挙げられる。しかし、大社は率直に言って、伊勢神宮など他の有名神宮・神社に比べ何故か聖域感が薄かった。松江は今回の旅で「もう一度」の思いを最も強く感じた所だが、出雲大社にそれはない。これは家人も同様だった。
足立美術館も文化の一部だが、美術館の所蔵作品(主に横山大観および同時代に日本画家)は価値がある。しかし、人気は整い過ぎた庭園に過大に依存しており、ここに人が集まってきている現実が果たして文化なのか?との感を拭えない。一言で言えば「一度訪れれば十分」と。
宿良し・食良しは、松江の皆美館、大山のオーベルジュ天空在ってのことである(それなりに費用はかかったが・・・)。皆美館の懐石料理と地酒それに鯛めしの朝食。オーベルジュ天空の創作イタリアンも素晴らしかった。特に“伊勢海老とトマトクリームスパゲッティ”は絶品。両者の料理に共通するのは、地元食材の積極活用とそれに対する創意工夫に満ちた調理法である。松江、大山をもう一度訪れたいと思うのは、この二つが大きな誘因である。11年間全国を走り回って、こんな気(文化・歴史も魅力的だが、あるいは景観も素晴らしいが、宿と料理により惹かれるからもう一度)にさせるところは五指に満たない。
今回鳥取・島根を廻って思い至ったことは、日本海側を旅することの旅情の深みである。これは両県に限らず、鳥海・酒田、富山・金沢、・若狭湾、城崎などを走り、訪れた時感じていたことと共通する。小学唱歌や中学・高校で唱っていた歌に象徴されるような日本の原風景をとどめている町のたたずまいや景色、人々の穏やかさ、特色のある食材とその豊かさ、静かな歴史(萩までいくと騒がしくなるが)、そしてこれらが作る相乗効果が、旅と言う非日常を味わい深いものしてくれ、心を癒し新たな鋭気を与えてくれる。
与えられた鋭気で、来年は北海道の日本海側を縦走してみようか?こんな元気とヒントが沸いてきた旅だった。お会いした鳥取・島根の皆さん、ありがとうございました。


パンフレットは上から;岩美町(浦富海岸)、倉吉、倉吉淀屋、松江城、小泉八雲旧居、足立美術館

(写真はクリックすると拡大します)

-完-

長いことお読みいただき有難うございました。

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