2023年12月15日金曜日

一人参加の三陸旅行(1)

1.旅の再開

20197月宗谷岬までの長距離ドライブ旅行を終えた時、次は三陸をと考えていた。しかし9月の硬膜下血腫発症と翌年初から始まったコロナ禍でちょうど期限が来た免許証返納、長い蟄居生活に入った。この間の旅は2021年秋の修善寺温泉だけだった。昨年から旅禁断症となり、あれこれ可能性を当たってきたが、家人は足が弱ってきていることもあり、公共交通機関利用の遠方旅行には一向に関心を示さない。好きな鉄道で一人旅でもするか、とコロナ5類移行が見え始めた連休前から三陸鉄道リアス線を主体とする旅の具体化を検討し始めた。分かってきたのはこの地方の一人旅は思った以上に不便な点が多々あることである。


最初に考えた案は、東北新幹線で八戸まで行き、ここから八戸線で久慈へ出て、南北がつながった三陸鉄道リアス線を盛(さかり)まで南下、その先は震災後鉄道再敷設を諦め、鉄路をバス専用道路に変えた所を走るBRTBus Rapid Transit)で気仙沼か石巻まで行き、そこから大船渡線か石巻線経由で新幹線につなぐというものだった。ただいくら乗り物好きと言っても始点から終点まで乗りっぱなしする考えはなく、観光スポット(リアス式海岸の代表北山崎、浄土ヶ浜など)、震災の害が大きかった所(田野畑、陸前高田など)、よく知られた都市(宮古、釜石、気仙沼など)に立ち寄り、名物を食したり、土産物を求めたりしたかった。こうなると、交通機関が効率よく利用できたとしても、最低34日はかかりそうだ。宿泊地は;一日目は八戸、二日目は宮古か浄土ヶ浜、三日目は陸前高田か気仙沼を想定し、検討を開始した。


先ず当たったのは宿泊先。八戸・宮古・釜石にビジネスホテルは在るものの八戸を除けば、駅・繁華街・観光との利便性と施設仕様がこちらの要望をすべて満たすものは見つけられなかった。それでは観光地をと選択肢を変えてみたが、プランが二人ベースばかり(一人でも泊まれるが割高になる。部屋が限られオーシャンビューが保障されない)。また、鉄道だけでアクセスできずバスかタクシー利用となる。さらに、タクシーは最寄り駅ではなく、先に挙げたようなそれなりの規模を持つ都市にしか常駐していない。宿泊先以上に問題なのはこのタクシーを含めた交通の便だ。いずれの路線も通勤・通学時のみ1時間2本程度あるものの、それ以外の時間帯では23時間に1本程度、これとローカルバスの組合せなど時間効率を著しく悪くし、3泊で所期の目的を達するのは極めて難しい。残るはタクシーのチャーターだが費用がバカにならない。時間と費用の効率を考え、不本意ながら自由度のないツアー参加を検討する結果になった。

しかし、このツアーも思い通りのものはない。基本は一部屋2人ベースだが3人・4人もザラ。当然だが1人部屋(この数に制約あり)を希望すれば追加料金となる。また最少催行人数があり(最多人数を記されているものは極めてまれ)、多くのプランはそのレベルが高く、少人数の落ち着いた旅を期待できないし、要件達成まで催行実施が決まらない。9月半ばに旅行社(近畿日本ツリースト;KNT)に出かけ、10月中旬希望で検討したが、“一人”がボトルネックで、予約(25人催行待ち)できたのは、1112日出発のクラブツーリズム(CTM)のプラン「三陸アワビ・ホタテ浜焼き・生まぐろ丼、七つの名所へご案内、初めての三陸海岸3日間」が最も早いものだった。「東北はもう雪ではないか?」そんな時期である。

プランの内容:1日目;東京駅→東北新幹線→盛岡→専用バスで北山崎→島越駅→グリーンピア三陸みやこホテル泊、2日目;ホテル→専用バスで龍河洞・浄土ヶ浜→宮古駅→三陸鉄道北線→陸中山田駅→陸中海岸グランドホテル泊、3日目;ホテル→専用バスで陸前高田→塩釜→松島→仙台駅→東北新幹線→東京駅。費用は696百円。松島には何度か出かけており興味は無かったし、三陸鉄道利用が短いのは不満だが、あとは何とか見かけ上必要条件を満たしていた。

(つづく)

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