9.瀋陽鉄道博物館
6月24日(火)晴。昨晩は暗くなってからチェックインしたため、自室(9階)からの眺めを確認していなかったが、目の下は大公園、その遙か先には、大連郊外同様高層アパート群が遠望できる。一方、真下には近代的なオフィスビルと古い低層アパートが混在している。
朝食の際、飲料水を探したが飲み物コーナーに見当たらない。大連ではそこに冷水も置かれていたが、ここにはそれがないのだ。ウェートレスに「Water・水はどこ?」と英・日(みず、すい)で問うたが通じない。仕方が無いので手のひらに“水”と書いたところ、“檸檬水(レモネード)”のところに連れて行かれた。「そうじゃない」とジェスチャーであれこれやっているうちに、やっと通じたようで、彼女は調理場に向かう。持ってきてくれたのは、あまり清潔な感じのしないガラスコップに満たされた水、「有り難う」と言ったものの、飲む気にならなかった。どうやら飲料水はミネラルウォータのボトル(部屋にはあるがレストランにはなし)からと言うことらしい(ウェートレスは生水を所望したと解釈)。
今日の最初の訪問地は瀋陽鉄路陳列館、つまり鉄道博物館である。所在地はホテルから自動車専用道を経て1時間ほど南に行ったところにある。遠方ゆえだろう、「地球の歩き方」には地図上に名前はあるものの、紹介記事はない。陳列館の前身は大きな機関区、周辺は町工場が散在するような殺風景な場所。個人旅行では簡単にたどり着けないようなところだ。名称は陳列館だが、本館は展示ゾーンの一つの過ぎず、我々は見学していないが、屋外にも車輌・転車台を含め、多数の鉄道関係機器・システムが陳列されているようだ。
本館は2003年に竣工したらしいが、関係者以外非公開、それが2019年に一般公開され、当地の名所の一つとなっている。
日本人にとってはなんといっても満鉄特急「アジア号」(大連-ハルビン間950kmを、停車時間を含め12時間30分で結ぶ。最高速度130km/時)、私の関心も専らそれにある(残念ながら乗車体験はないが)。一号車(川崎重工製、1934年)・二号車(満鉄沙河口工場)はともに本館内に収められており、保存状態も極めて良好。機関車(蒸気、電気、ディーゼル)・客車・新幹線先頭車など約60両が、時代順に一列に並んだ姿は、壮観ではあるが、単調感は免れない。かつて非公開だったのは研究目的の施設だったという説もあるし、今でも日・月曜日は休館、子供の喜ぶ模型が走行するジオラマもない。土産コーナーも貧相で、博物館ガイドブックすらなかった。
旧国鉄大宮工場を活用したJR東の鉄道博物館や旧梅小路機関庫を含むJR西の京都鉄道博物館、あるいは鉄道発祥の地、英国ヨークの国立鉄道博物館を観た者にとり、楽しませる要素を著しく欠くのだ。ヨークでは保守点検のため台車と上部構造を分離する実演が見られたし、大宮では転車台を回転させ機関車の向きを変え、梅小路では蒸気機関車が牽く客車乗車を体験できる。
館内には中国鉄道発展史的な説明が随所にあるが、中国共産党がいかにそれに寄与し、中国が今や世界を代表する鉄道大国であることを見学者に訴えるプロパガンダ一色。当に「これが中国」といったところか。それでも、たまたま時代順とはいえ、「アジア号」が中央の位置にあることで、日本人として溜飲が下がる思いであった。
写真上から;部屋からの眺め、陳列館紹介パンフレット、本館全体、アジア号、館内全体図2葉、和諧号(新幹線)(クリックすると拡大します)
(次回;瀋陽観光つづく)
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