2010年8月9日月曜日

奥の細道ドライブ紀行-8(銀山温泉)

 この旅行の準備を始める前には、銀山温泉のことは知らなかった。最後の日の観光スポットとして山寺を選んだことで、山形・宮城の温泉地を調べている時、鳴子と伴に候補として浮かび上がってきた。調べてみると古い銀鉱山跡があり、大正時代に建てられた多層木造建築の旅館街が残り、その風情が独特の雰囲気を作り出し、人気の温泉であることが分かってきた。さらに情報を集めていくと、あの「おしん」の中にも登場したと言う。これで決まりである。
 出立の朝、乳頭温泉は小雨だった。角館までは来た道を戻るのだが、途中で空が明るくなり、晴れ間こそないものの道も乾いてくる。この地方の幹線道路、国道13号線の大曲バイパスに出て南下する。横手盆地の中央部、十文字の道の駅で一休み。そこから無料の自動車専用道路、横手湯沢道路を走り、湯沢を経て雄勝(おがち)から再び一般道になる。幹線道路ゆえ、沿道の町々はほとんどバイパスが出来ており、ショッピングセンターやファミリーレストランなどが在って、車の旅の利便性はいいが、全国どこでも同じような情景なのが残念だ。
 雄勝で13号線と分かれ、本日のハイライトと期待する国道108号線(鬼首街道)に入り、鳴子温泉郷への山岳ドライブを楽しむ。途中に秋の宮という温泉場があるものの、町らしい町はないのでほとんど車は走っていない。しかし、道は舗装こそしてあるものの整備されていないので、曲がりは厳しい。秋田・山形の県境、鬼首峠までは上り、ここをトンネルで抜けるとあとは鳴子に向かって下りになる。12時過ぎ日本こけし館に到着。こけしに特別関心があったわけではないので、一通り見学して、近くにある遥かに鳴子市街を見下ろすレストランで蕎麦を食した。近くで採った山菜のてんぷらを、サービスでつけてくれたのが嬉しい。
 鳴子からは国道47号線を西に向かい、中山峠で再び山形県に入り、途中県道28号、29号に分け入って銀山温泉に、2時半頃到着した。
 温泉街は道路のどん詰まり、渓流(銀山川)の両側にあるのだが、道路は狭く、限られた業務用軽トラックが通行できるだけ。一般車は入口の橋(白銀橋)の手前までしか入れず、それぞれの旅館が用意する狭い駐車場に停めて、そこからは歩きになる。予約の時に指示されたとおり、橋の手前で電話をすると、印半纏の番頭さんがやってきて案内をしてくれた。白銀橋から川沿いの狭いコンクリート道路を進むと、両側に3層、4層の木造建てが見えてくる。その建物を河岸で写生や写真撮影をしている人達がいる。皆のお目当ては何と言っても「おしん」の舞台にもなった重要建造物指定の「能登屋」、橋からは最も奥にある。我々の宿泊先はここではなく、少し手前にある「旅館藤屋」、ここはここで銀山温泉を代表する旅館のひとつなのだが、それについては次回に譲る。
 チェックインすると直ぐ、明るいうちに銀山跡の見学に出かけた。温泉街の渓流は一番奥で滝になり、さらにその先を30分くらい登るとやっと延沢銀坑洞の入口に辿り着く。なにしろ500年前に栄えた鉱山なのでそれほど大規模な土木工事ができるわけはなく、ノミと金槌で開削した坑道は、狭く複雑に鉱脈に沿って穿たれている。出口までの時間は15分程度であったろうか、訪れる人も少ないので、チョッとした探検気分を味わった。帰りは途中から橋を渡って渓流の反対側に出て、滝が間近に見える山道をもどった。谷合の温泉街は薄暗くなり、寒さがチョッと堪えるほどになってきた。
(写真はダブルクリックすると拡大します

0 件のコメント: