2014年1月19日日曜日

フランス紀行 南仏・プロヴァンス・パリを巡る-(26)


20.パリ-2
コンコルド・オペラ・パリ、これがホテルの名前である。“コンコルド”ホテル・チェーンの一つであること、オペラ座が近いことを表わしている。しかし、43年前にはこんな名称ではなかった。OSNさんに尋ねると「何度か名前は変わっていますからね」の返事でオリジナルに行き着くことはできなかった。
前回は深夜にチェックインし、翌朝9時過ぎには列車に乗るため早々に出立したので周辺の情景は全く記憶にないが、ロビーに入ると直ぐにあの時の印象が蘇った。何と言っても吹き抜けの広々とした空間と古典的なインテリアが素晴らしい。いかにもヨーロッパの雰囲気にツアーの仲間も感激している。実は予約段階で延泊交渉をしているとき、サン・ラザール駅前のホテルと聞かされ「もしや?」と思いつつも“駅前ホテル”であることから今一つ落ち着かない環境を懸念する気持ちがどこかにあった。チェックインした時、夜⒑時を過ぎているのにやたらロビーに人が集まり大型のカラーTVを観ながら時々歓声を上げている。「うるさいなー。いったい何なんだ?」これが当時の第一印象である(あとで分かることだが1970年のサッカー・ワールドカップであった;日本人にもアメリカ人にもサッカーなど一部の人の興味しか惹かない時代である)。今回はあの時の喧騒な“駅前ホテル”感はどこにもなく、好印象の第一歩である。
ツアーのプログラムはここに一泊し翌日の深夜便で帰国するので、正味1日半程度の観光しかできない。しかも、明日のチェックアウト時間までスケジュールは各自フリーだから何をするか、どこへ行くかも自分で決めなければならない。TGVの車中からOSNさんはその相談で大忙しだった。嘗て2泊した経験からもこれではパリ名所のほんの一部しか訪れることはできない(郊外に在るヴェルサイユ宮殿は無論、ルーヴルさえ入場時間終了で入れず)。それもあって我々は2泊延泊にして、ここに3泊するスケジュールを組んだ。
特定のツアーはJTBの子会社、マイバス社が欧州いたる所で提供しているので、ヴェルサイユ、ルーヴルそれにムーラン・ルージュはそれを利用することとし予約を入れてある。あとは地下鉄と自分の足で廻るよう計画しておいた。
この日の午後の予定は、凱旋門(エトワール広場)、シャンゼリゼ大通り、コンコルド広場、オペラ座界隈(マイバス社確認など)なので、チェックインを済ますと直ちに地下鉄駅に向かい有人窓口(インフォメーションを兼ねる)で「アン・カルネ」と言って10枚一組の回数券を購入する。13.3ユーロなので一枚1.7ユーロの切符に比べると2割安い上、今回の見どころ(4日間、ツアーは除く)は総て“ゾーン1”内に在るので、地下鉄14路線、バス・トラム(近郊電車)を使ってこの回数券1枚でどこへでも行ける。
サン・ラザールの地下鉄駅は3121314号線が交差する複雑な駅だが、目指す路線を見つけるのは至極簡単(地下鉄利用については別途報告する)。今回は3号線で二駅目のヴェリエ(Vellers)に出てそこで6号線に乗り換え、4つ目がシャルル・ドゴール・エトワール、つまり凱旋門広場である。“Champs Eiysees”の案内に従って地上に出るとそこは巨大な凱旋門を見上げる、シャンゼリゼ大通りの一角だった。遅れに遅れた昼食はファーストフードのサンドウィッチ屋に入り、表のテラス席で行き交う人々とクルマを眺めながら腹に収めた。これが典型的な世界のお上りさんスタイルなのだ。43年前は(少数で、田舎者のようで)気恥ずかしい気分だったが、今や人種・言語・身なりは種々雑多、パリはお上りさんに占領されていると言ってもいい。気楽に行けそうだ。
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(次回;パリ;つづく)

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