2014年8月23日土曜日

みちのく山岳ドライブ-17 -八幡平・十和田・奥入瀬・八甲田・白神山地・鳥海を駆け抜ける-


10.鳥海へ-2
白神ラインが日本海に突き当たる岩崎を過ぎても海岸沿いの単調な道は変わらない。交通量は少なく周辺にときどき小集落が現れるものの人影は疎らだ。左側は山地、右側は海。田圃は全くなく、小規模な畑地が散在するような景観が続く。地方をドライブしている時いつも沸いてくる疑問がここでも出てくる。「一体どのように生計を成り立たせているのだろう?」「沿岸漁業で獲れた海産物や野菜などを近くの都市(弘前、能代など)へ供給するだけでやっていけるのだろうか?」「それとも“日本キャニオン”などと言う看板があるので、白神と併せて観光で食べているのだろうか?」 こんなことを考えているうちに街道名にもなっている大間越(おおまごし)の町を抜け、しばらく走ると秋田県に入って、県境に在る道の駅「八森」で小休止する。どうやらハタハタが名物のようだ。
八森で休憩の後10分くらい南下するとやっと平地が開けてくる。能代平野に入ったのだ。能代と聞いてすぐに思い浮かべるのは“大火”である。ここは1949年(昭和24年)と1956年(昭和31年)、2度も大火災で市街地がなめつくされている。後者は高校生であったからよく記憶に残っている。それもあるのか、道路は広く、よく整備されているが、町の風情は何か軽薄な感じだ。もっともこの風景は最近の地方中小都市共通で、街中を通る旧道とは別にバイパスが設けられ、そこに商業施設が並ぶ、クルマ社会への転換を象徴する典型的なパターンともいえる。
町の特色をつかめぬまま道は秋田道の北の始点、能代南ICにつながっていく。この道はやがて東北道に至り首都高まで達するのだが、うれしいことにかなりの部分が一般国道扱いで無料になっている。今回有料だったのは琴丘森岳ICから日本海東北道の秋田空港ICまでの間だけだった。無料区間は基本的に片側1車線だが交通量は極めて少なないので追い越しの必要はほとんどなく、先を急ぐのに差しさわりは無い。さすがに米どころ、左右に見事な水田が広がり、右側の遥か先には八郎潟干拓で出来た大潟村を遠望できる。秋田南ICで今度は日本海東北道に乗り換え、さらに交通量の少ないこの道を南下する。先ほどまでの平地が山がちになり、切通しやトンネルの多い、変わり映えのしない地方自動車道をしばらくひた走り、由利本荘ICで自動車道を下りる。
ここからは国道108号線(矢島街道)を南東に向かう。この道は真室川を経て山形へ通じる道だ。5時前、買い物にでも出かけるのだろうか、女性ドライバーの軽自動車が結構多い。やがて由利高原鉄道の矢島駅を中心に開ける矢島の町に入る。ここからの道取りには注意が必要だ。ナビには今夜の宿泊先フォレスタ鳥海をセットしてあるものの、出発前に入手した情報では、鳥海山の麓の道路は年初の大雪で、各所で通行止めになっている。ナビに現在の道路状況がどこまで反映されるのか分からないので、道路標識や看板で確認することが不可欠だ。幸い5月下旬の空はまだ明るい。先ず矢島の町から直ぐに山に分け入る道をナビは採らず、さらに直進してから山に向かうルートを指示してくる。随分遠回りのようだが、それに従うとあとは人家もまばらな山道を何度も変えながら上っていく。夕日をバックにした鳥海山が見えてはいるが、ホテルの案内表示を見つけることが出来ない。「大丈夫か?」と思っていたところ、やっと広い道に出て、その先にホテルへの道標があらわれた。ホテル到着は5時半、チェックイン予定時刻ピッタリであった。本日の走行距離;334km。白神を除けば走りの一日だった。

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(次回;フォレスタ鳥海)

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